残留土「安全対策工事が必要」 熱海市、前所有者に行政指導へ

2022年3月29日 07時53分
 昨年七月の熱海市伊豆山(いずさん)の土石流災害で被害を拡大させた盛り土が現在も残っている問題で、さらなる崩落の危険性を調べていた県が、一部について「安全対策工事が必要」と判断したことが関係者への取材で分かった。これを受けて近く熱海市は、盛り土に対する県土採取等規制条例の届け出者である前土地所有者に行政指導する。(塚田真裕、中川紘希)
 県は土砂量七万〜七万五千立方メートルの盛り土がされたと推計。うち五万五千〜五万七千立方メートルが昨年七月の崩落で流出し、崩落した場所とその上部の崩れなかった場所を合わせ、計二万立方メートルが残っていると推測している。
 この残留土について県は「崩落の危険性も否定できない」として、これまでに地質、土質調査と安定性の解析を実施。今月下旬、残留土の一部については、雨量の多い梅雨期の到来を見据え、安全対策工事が必要と判断した。
 行政指導に従わない場合は弁明の機会を与えた上で、より強い措置命令を出す。措置命令にも従わない場合は、行政が税金を投じて対策工事をした後に前所有者から費用を回収する「行政代執行」を検討する。県議会二月定例会で成立した県の盛り土新条例は施行が七月一日のため、現在の県条例で権限がある熱海市が行政指導を行い、県がバックアップする。ただ、前所有者が指導に従うかは不透明だ。
 熱海市の土石流災害を受けて全国の盛り土の緊急点検を行った国土交通省は、自治体が行う詳細調査や崩落の恐れがある盛り土の応急対策にかかる費用を補助することを決めており、県と市はこれを利用する方針だ。
 前所有者は神奈川県小田原市の不動産管理会社。同社は二〇一一年二月、この土地を含む一帯を売却しているが、盛り土造成の届け出に対する完了届が提出されていないため、県条例上では、効力は続いているとされる。

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