慢性便秘症 相次ぎ新薬 「合う治療」へ、広がる選択

2022年3月29日 08時58分
 長引く新型コロナウイルス禍で生活が乱れ、便秘に悩んでいる人もいるのではないか。高齢者が思うように排便できない状態を長く放っておくと、命に関わる恐れもある。近年、慢性便秘症の新薬が相次いで登場し、公的医療保険の対象となっている。効果や下痢などの副作用を見ながら合う薬を選び、快適な便通を保ちたい。 (植木創太)
 二〇一七年の慢性便秘症診療ガイドライン作成に携わった横浜市立大医学部肝胆膵(すい)消化器病学教室主任教授の中島淳さん(62)によると、便秘症は外に出すべき便を十分かつ快適に出せない状態。三日間排便がなければ便秘と考えてよく、一九年の国の調査によると男性の2・5%、女性の4・3%が当てはまる。半年以上前から症状があり、三カ月以上続けば慢性だ。

◆長年の苦痛軽減

 国内では、浸透圧を利用して水分を便に引き込んで軟らかくする「浸透圧性下剤」が治療の第一選択肢。それが効かなくなったら、大腸を刺激し、便を出すための蠕動(ぜんどう)運動を促す「刺激性下剤」を使うのが一般的だった。ただ刺激性は長期間使うと効果が低下。浸透圧性下剤で代表的な酸化マグネシウムは、腎機能に問題があったり高齢だったりして代謝が悪い人が使い続けると、吐き気や不整脈などが出る高マグネシウム血症のリスクがあるとされる。
 そうした中、近年、慢性便秘症向けの新薬が相次いで認可されている=表。約二十年前から便秘に悩む三重県伊勢市の男性(79)は刺激性下剤を長く飲んできたが効かなくなり、一七年に登場した「上皮機能変容薬」のリンゼスを使ったところ、だいぶ改善した。小腸での水分分泌を増やして便を軟らかくし、大腸の動きを促す効果がある。以前は便が硬くて出せず、頻繁にかん腸をしてもらっていたという。

◆効果など見極め

 上皮機能変容薬に続き、一八年には消化管の機能を高める胆汁酸が大腸に流れるのを助ける「胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬」、浸透圧性下剤の一種で水に溶かして飲むことで水分を便に直接届ける「ポリエチレングリコール(PEG)製剤」に加え、糖類下剤も保険の適用に。複数ある薬から効果を見て選べるようになった。
 便意を感じる知覚機能や腸、肛門の運動機能は加齢とともに衰える。便意に気づきにくくなって便が腸に長くとどまると、水分が抜けて硬くなる。運動機能が落ちた状態だと硬くなった便の排出は難しく、便秘が慢性化しやすい。「高齢者が強くいきむと、血圧が上がって脳卒中のリスクが高まるというデータもある」と中島さん。「たかが便秘と思わず受診してほしい」

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