ロシアは「深刻な脅威」でも最優先課題は対中国  バイデン政権初の国防戦略を発表

2022年3月29日 18時41分
バイデン米大統領(AP)

バイデン米大統領(AP)

 【ワシントン=吉田通夫】米国防総省は28日、バイデン政権では初となる安全保障政策の指針「国家防衛戦略(NDS)」を米議会に提出し、概要を公表した。ウクライナに侵攻したロシアを「深刻な脅威」と位置付けつつ、最優先課題は「最大の戦略的競合国」の中国だと明記し、同盟国と連携して抑止力の強化に取り組む。新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」も盛り込んだ。
 ヒックス国防副長官は同日の記者会見で「ウクライナの人々のことは、最も心に留めている」としつつ「中国には、われわれの利益に挑戦する軍事的、経済的、技術的な潜在能力がある」と指摘。優先順位を「インド太平洋における中国、次に欧州におけるロシア」と述べた。
 議会に提出したNDSは機密指定のため非公開で、近く公開版を公表するという。
 概要では「ロシアのウクライナ侵攻への対応が示したように、同盟国との連携は米国の強みで、目標達成に不可欠」と指摘し、同盟国との連携強化を提唱。技術開発や人材育成を通じて「永続的な優位性」を確保することも掲げ、核抑止力の必要性にも触れた。
 核抑止力の指針となるNPRはまだ発表されていないが、米報道によると、バイデン大統領が就任前に公約していた「米国や同盟国への核攻撃にのみ使用する」という「唯一の目的化」は見送る。
 バイデン氏は核軍縮に向けて核兵器の役割低減に取り組む方針だった。しかし、ロシアがウクライナに侵攻したうえ核兵器の使用をほのめかすなどしており、北大西洋条約機構(NATO)など同盟国から抑止力の低下を懸念する声があがっていたため、幅広く使用できる余地を残すという。

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