<新型コロナ>10万円給付「暗証番号忘れた」 オンライン申請なのに窓口混雑

2020年5月12日 02時00分

マイナンバーの手続き相談の受け付け終了を伝える張り紙=11日午後1時すぎ、東京都品川区役所で

 新型コロナウイルス対策で一律十万円が支給される「特別定額給付金」の申請を巡り、マイナンバーカードを使ったオンライン申請がうまくできない住民が、市区町村の窓口に詰めかけている。各役所から国のシステムへのアクセスも集中。「三密」を防ぐ狙いのオンライン申請が「過密」を招く状態となっている。 (市川千晴、三輪喜人)
 十一日早朝、東京都品川区役所には行列ができていた。午前八時半に開庁後、二十分間で対応できる百人に達し、受け付けを終了。その後に来庁し、「また来いというのか!」と職員に詰め寄る男性もいた。
 訪れた住民は長いすに一人おきに座って順番を待ち、「マイナンバーの暗証番号を忘れて、オンライン申請ができない」「電子証明書の有効期限が切れていた」などと相談した。
 プロダンサーの壺内康文さんは「暗証番号も電子証明書も問題ないのに、パソコンで申請できなかった」ため来庁。七時間待った結果、窓口の職員に「原因は分からない」と言われた。「国はシステム面も専門家を結集し、迅速に対応してほしい」とあきれはてて役所を後にした。
 オンライン申請だと給付金が早く受け取れると考える住民も多いが、世帯主以外の家族の情報に誤りがないか役所が確認する作業が必要。一方、郵送受け付けの場合は、役所が各世帯に申請書を送る段階で家族状況を確認しているので、申請後の作業は少ない。担当者は「給付のタイミングは、さほど変わらない。感染リスクも心配なので二十二日ごろから始まる郵送申請を活用してほしい」と話す。
 五カ所の窓口を九カ所に増やし、土日も対応している大田区役所。八日は本庁舎だけで三百件を受け付けたが、十一日は国のシステムにアクセスが集中して作業が滞り、「今日中に手続きが間に合わない可能性がある」として午後一時半、約百四十件で新規の受け付けを中止した。
 忘れてしまった暗証番号の再設定に訪れ、「二時間待っている」という航空関係の会社に勤める男性(21)は、あと約四時間待つ必要があると言われた。「五月分の給料は一割減になると聞いている。家賃も安くないので、一日も早く十万円が手元にほしい。順番を待つしかない」と話した。
 杉並区でも三時間待ちに。区によると、マイナンバーカードがないと給付を受けられないと誤解している人も多いという。担当者は「郵送なら、運転免許証や保険証のコピーで手続きできる」と話す。同区は十八日から郵送の申請書類を各世帯に送る。

◆再設定 ネットでできず

 特別定額給付金のオンライン申請は、政府が運営するサイト「マイナポータル」で行う。マイナンバーカードとカードを読み取れるスマートフォン、もしくはパソコンとICカードリーダーがないと、申請できない。
 サイトでは、最初に数字四桁の暗証番号を入力する。続いて本人確認をする電子証明書の六~十六文字の英数字のパスワードを入力する必要がある。
 マイナンバーの情報システムを管理する地方共同法人「地方公共団体情報システム機構」の担当者によると、「パスワードに関して、全国の自治体からアクセスがシステムに集中している」という。
 暗証番号とパスワードを忘れた場合、再設定には自治体窓口で手続きが必要。ある自治体の担当者は「セキュリティーを保つため、ネットや電話では手続きできない」と説明した。
 マイナンバーカードの取得率は今月一日時点で16%。取得には通常、申請から一カ月ほどかかる。

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