保護犬・保護猫 動画で出会って コロナで譲渡会中止、引き取りの危機

2020年5月10日 09時50分

4月下旬に投稿された「オンライン譲渡会」。動物に関する詳しい説明が添えられている=ユーチューブより

 殺処分されないように保護した犬や猫を新たな飼い主に譲る機会が減っている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの保護団体が譲渡会を中止しているからだ。事態を打開しようと、ネットに犬や猫の動画を投稿し、新たな飼い主を探す動きが広がっている。 (稲垣太郎)

◆これ以上預かれない…保護団体は悲鳴

 「このままだと保護したい猫を助けられないことも起きるのでは」。西村麻衣子さんは不安を口にする。
 西村さんは「むさしの地域猫の会」(東京都武蔵野市)の会長。会では、野良猫が産んだ子猫をボランティアの自宅で預かり、譲渡会で飼い主を見つけてきた。だが三月以降、譲渡会を開いていない。「三密」状態になるからだ。
 西村さんは「毎月の譲渡会で十~二十匹の飼い主が決まる。その分預かり枠が空き、新しい猫を保護できた。このまま保護を続けると、預かれる数を超えてしまう」と悲鳴を上げる。
 二〇一八年度、全国で殺処分された犬や猫は三万八千四百四十四匹。その数を減らそうと、各地で保護団体が飼い主のいない犬や猫を見つけては保護したり、殺処分をする動物愛護センターから引き取ったりしている。ところが新型コロナの影響で、多くの団体が新たな飼い主を探す譲渡会の開催を見送っている。

◆東京都内、5月の開催は3件

 例えば東京都。都の動物愛護相談センターには、むさしの地域猫の会など四十八の譲渡対象団体が登録されている。センターのホームページに掲載されている譲渡会のお知らせをみると、五月に開催を予定しているのは三団体だけ。センターの担当者は「人が集まる譲渡会はなくなってきている」と語る。
 そんな中、四月下旬に「オンライン譲渡会」という約十五分の動画がユーチューブに投稿された。埼玉県内の団体や個人が保護している犬四匹、猫十八匹を紹介。性格などそれぞれの詳しい説明に加え、問い合わせ先も案内している。
 編集したのは「ねこたろう」の名で保護猫の写真を撮っている埼玉県富士見市の会社員男性。「危機的な状況を何とかする方法はないのか。ネットで譲渡会を開こうと考えた」と狙いを説明する。
 五月六日には四本目の動画を投稿。これまでに犬二匹、猫三匹について問い合わせがあった。新たな飼い主が決まった犬、猫はいないが、猫一匹は試しに自宅で飼う「トライアル」の段階に進んでいる。

◆保護猫カフェも「感謝しかない」

 店で保護猫と触れ合ってもらい、新たな飼い主を探す「保護猫カフェ」もオンライン譲渡会の力を借りた。営業自粛で店を開けないからだ。猫を紹介してもらった埼玉県狭山市の保護猫カフェ「ファニーキャット」のオーナー、松木奈緒子さんは「売り上げはないのに家賃や店の猫たちの餌代がかかる。ネットで猫たちを紹介してくれるなんて、感謝しかない」と話す。
 同様の動きは広がり、ほかにも「バーチャル譲渡会」「リモート譲渡会」といった動画がネットに投稿されている。ただ、動物と飼育を希望する人との相性や、その人にペットを飼える環境があるかどうかを、ネット譲渡会で見極めることができるのだろうか。
 ねこたろうさんは「問い合わせはオンラインでも、それから飼い主を決めるまでの手順は今までと変わらない。自分は、信頼関係がある団体の動画をまとめている。動物の幸せを一番に願う保護団体なら、面談やトライアルなど希望者と実際に顔を合わせる手順を持っている」と説明した。

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