あつまれ 高尾の森 八王子の幼なじみ企画、里山体験 楽しみ自分たちで発見

2022年3月31日 06時36分

イベントを企画した佐藤さん(左)と塚田さん=いずれも八王子市で

 コロナ禍によるステイホーム生活で世界中で爆発的にヒットしたゲーム「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)。無人島でテントを立てたり、食材を調理したりする、ゲームの世界を体験できるイベントが27日、八王子市の里山「高尾100年の森」で開かれた。主催した幼なじみ2人組は、子どもたちにリアルの楽しさを伝えようとしている。

◆リアル伝えたい

 入り口でパスポートを受け取った約30人の小学生以下の子どもたち。スタッフから「燃えそうな木の枝を10本、持ってきて」と「ミッション」がくだる。木の枝を持っていくと、今度はテントが渡される。少しだけ大人の手を借りながら、子どもたちがテントを立てていく。閑散としていた広場は、たくさんのテントでにぎやかな「集落」になっていった。

【テントを立てる】子どもたちがテントを立て、里山に集落が出現

 「あつ森」は、2020年3月に発売された任天堂のゲーム機スイッチのゲームソフトで、プレーヤーの分身が好きなように無人島を開拓し、生活できる。「テントを立てる」「木の枝を拾う」など今回のイベントと共通点はあるが、企画した塚田拓さん(30)と佐藤新平さん(30)は「ゲームを再現しようと思ったわけではありません」と口をそろえる。
 イベント名こそ、「あつまれ 高尾100年の森」だが、2人がイメージしているのは幼いころの記憶だ。
 家が近く、小中学校が一緒だった2人が育ったのは、自然豊かな八王子市の中でも緑が多い西部地域。山の中で秘密基地を造ったり、下校中に山道を探検したり、「学校や家のルールとは別に自由に遊んでいた」と振り返る。今の子どもたちにもそんな場を提供したいと、今回のイベントを考えた。
 きっかけは、コロナ禍だった。リモートワークが増えた塚田さんは、ふと人生を振り返ることがあったという。いつの間にか親や教師の敷いたレールに乗ってしまったが、幼いころは自分たちで考え、自由に道を切り開いていたのではないか−。そんな貴重な体験をしてもらいたい。中学卒業後も連絡を取り合っていた佐藤さんと話し、意気投合してイベントを企画。賛同した小中学校の同級生らもスタッフとして参加してくれた。

無事、テントを完成させた子どもたち

 この日、子どもたちが体験した「木の枝を集める」「テントを張る」といった行動は、ゲーム「あつ森」でもできる。しかし、ゲームならボタン一つでできる行動も、現実世界では、どんな枝が火をおこすのに適しているのか思案しながら里山を散策しなくてはならない。安楽優成君(12)は「『あつ森』ではテントはすぐに立ったけど、本当のテントを作るのは難しかった」と苦笑いしていた。

【木の枝を拾う】燃えやすそうな木の枝を探す子どもたち

 子どもたちは「ミッション」を超えた楽しみを自分たちで発見していく。沢ガニを探す集団。「燃えやすい葉っぱを拾ってきた」と、火おこしに汗を流すスタッフを助ける子どもたち。子どもたちは、大人の予想を超えていく。

【沢ガニを探す】「ミッション」とは別に、沢ガニ探しをするグループ

 「あつ森」は外出が厳しく制限される中、「ゲームの世界では、自由に行動できる」と大ヒットした。誰もが、自分で考えて、自由に行動できる大切さを思い出したのかもしれない。塚田さんと佐藤さんは、自分たちの少年時代を振り返るような目で、駆け回る子どもたちを見守っていた。
 文と写真・布施谷航
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