<新型コロナ>「ロスフラワー」救って 大量廃棄の花に新たな命 ドライフラワーや仲介サイト

2020年5月8日 16時00分

「捨てられる花を減らしたい」と話すYayoさん=東京都渋谷区猿楽町で(浅田晃弘撮影)

 新型コロナウイルスの影響でイベントや祝賀行事の自粛が広がり、華やかな飾りに使われるはずだった花が捨てられている。「農家が丹精込めて育てたのに悲しい」。花の命をつなぐ、新たな取り組みが始まっている。 (浅田晃弘)
 東急東横線の代官山駅(東京都渋谷区)近くの住宅街に、ドライフラワーのアトリエ「RIN」がある。「フラワーサイクリスト」を名乗る河島春佳さんが、捨てられる運命だった花を集め、新たな命を吹き込んでいる。
 廃棄される花は「ロスフラワー」と呼んでいる。売れ残りや結婚式などで飾られた後に用済みとなった花で「食品ロス」になぞらえて河島さんが造語した。
 消費社会が生んだ「ロスフラワー」は、新型コロナの流行で事情が変わった。花店の休業やイベントの自粛で、花の消費自体が激減。生産調整のため、出荷前に花の処分に追い込まれる農家が出てきた。
 「RIN」は、これまでの花店に加えて花農家からも「ロスフラワー」の提供を募ることにした。「新型コロナウイルスの影響で 在庫過多な生花を買い取り ドライフラワーにして装飾します」。三月下旬、SNSで呼び掛けた。
 農家からは悲痛な声が寄せられた。「一週間で五千~八千本のダリアを畑に捨てた」「バラを桜の木の根元で処分した。栄養分にでもなれば」…。このままでは廃業する農家が出てくるかもしれない。待ったなしの対応が必要だと、四月中旬、生花の販売サイト「Flower cycle marche」を開設した。利益は受け取らず、花の代行販売をする。
 反響は大きく、計五百人が二万五千本の花を購入した日もあった。トータルでは四万本のバラ、ダリアなどの「救済」に成功している。

ロスフラワーを使ったYayoさんの作品=撮影・MARIUEDA

 捨てられる木や花を使った「廃材アート」の作家で「RIN」のアンバサダー(広報大使)を務めるYayo(本名・織田弥生)さん(30)は、自らでもロスフラワーを購入し、作品づくりに生かしている。
 新型コロナで重苦しい空気が包む今こそ、花の文化を見つめ直す機会にしてほしいと呼び掛ける。「花がなくても人は生きていけるけれど、花のある生活はもっといい。会えない人には花を贈ってほしい」
      ◇
 5月10日は「母の日」。1年で最も花の需要がある日だが、業界団体「日本花き振興協議会」(千代田区)は店頭での密集や、配送業者の繁忙を防ぐために5月いっぱいを「母の月」として、プレゼントを贈る日を分散するよう呼び掛けている。

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