SNSで子どもを手なずけ性犯罪…被害児童数が高止まり 求められる「オンライングルーミング」対策

2022年4月1日 06時00分
 会員制交流サイト(SNS)で子どもを懐柔し、性的行為に及ぶ「オンライングルーミング」が社会問題化している。SNS上で子どもが性犯罪に巻き込まれるトラブルが後を絶たず、教育現場に取り組みの強化を求める声も上がる。(三宅千智)

 グルーミング わいせつ目的で子どもに接近し、信頼や好意を利用して手なずけていく行為。意思を誘導するマインドコントロールの一種で、性犯罪につながる準備行動とされる。SNSなどのオンライングルーミングのほか、教員やスポーツの指導者など顔見知りが加害者になるケースがある。語源のgroomは「手入れする」「仕込む」の意味。

 「発育途上の被害者が、心身に被った苦痛は相当大きい」
 3月、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた元力士の男(21)に、東京地裁は懲役2年10月(求刑懲役4年)の実刑を言い渡した。
 被害者は関東や九州などに住む当時9~13歳の女児4人。男は自らも女児を装い、SNS上で親しくなった上で、胸などを露出してわいせつな行為をする動画を自分のスマートフォンに送らせていた。嫌がる子どもには、やりとりした性的な写真などを「ネットで公開する」と脅した。
 男に犯罪歴はなく一部の被害者と示談も成立していたが、判決は「性欲を満たそうなどという身勝手な動機で、被害者らはその尊厳をないがしろにされた」と断じた。
 性犯罪被害者の支援に携わる川本瑞紀弁護士は「男性が女の子のふりをして『私はこれだけ見せたのに』と性的な画像を送るよう要求するパターンは多い」と説く。
 「大変だね」「いつでも味方だよ」など優しい言葉で共感するのも、常とう手段。「自分を全肯定してくれる人は周囲にそうはいない。会ったことがなくても『この人は良い人だから大丈夫』と信頼するようになる」と川本弁護士は語る。
 内閣府の2021年度の調査で、自分専用のスマートフォンを持つ割合は中高校生が9割以上。10歳以上の小学生も63.3%で、前年より20ポイント以上増えた。SNSによる子どもの犯罪被害の数も高止まりの傾向にある。
 性被害の当事者や支援者でつくる一般社団法人「スプリング」(東京)の幹事で西東京市議の納田里織さん(51)は「ネットではなりすましも多く、性的画像を送ると取り返しのつかないことにもなる」と指摘。児童・生徒に1人1台の端末を配備する国のGIGAスクール構想や、オンライン授業の推進を背景に「グルーミングのターゲットになりやすい子どもたちが皆、ネットにつながっている状態だ」と危険視する。
 法務省の法制審議会は、グルーミングに罰則を新設するかどうか検討を始めた。納田さんは「オンライングルーミングや性被害の実態を教育現場でも認識し、子どもを守る対策を強化する必要がある」と述べる。

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