感染者じわり増加…「リバウンドの兆候の可能性」 全国7週間ぶりに前週超え

2022年4月1日 06時00分
 新型コロナウイルスの新規感染者数がじわりと増えている。東京都では3月30日まで3日間連続で前週の同じ曜日を超え、全国では7週ぶりに前週を上回った。一方で、重症者数や死者数は減り続けており、専門家は現状について「リバウンド(感染再拡大)の兆候の可能性」との評価にとどめた。今後の動向は、感染の増加要因と抑制要因のバランスが、どちらに傾くかにかかっているという。(沢田千秋、原田遼、佐藤航)

◆「流行の初期に見られる現象」

 「増加傾向だが、連休の影響もある」。30日、厚生労働省に感染状況を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」座長、脇田隆字・国立感染症研究所長は慎重に言葉を選んだ。全国の新規感染者数は直近1週間で、10万人あたり約240人。前週比は1.04で、1を超えたのは第6波ピークの2月上旬以来だ。ただ、前週は3連休があり、検査数が少なかった。
 医療体制は比較的落ち着いている。3月29日時点の各都道府県の病床使用率はおおむね2~3割で、重症病床使用率も8県は0%で、2割以下が大半だ。
 それでも、懸念材料はある。東京都の新規感染者数を年代別で見ると、20代は3月半ばの15%が、3月末は18%に増加。全国的に飲食店での感染の割合も増えている。いずれも「流行の初期に見られる現象」(脇田氏)だ。検査数が減少する一方、陽性率が上がっている点も見過ごせない。
 30日の会合後、「リバウンドか、第7波の入り口か」との問いに、脇田氏は「リバウンドの兆候が見え始めている可能性があるが、感染拡大に入ったとまで言える状況ではない」と答えた。

◆増加要因は「春のイベント」と「亜型」

 今後、最大の感染増加要因は、過去にも感染拡大を招いた春のイベントだ。花見や謝恩会、歓送迎会や入学式などで、夜間滞留人口や接触機会が増えると、感染拡大は進む。
 もう一つの増加要因は、オミクロン株の派生型(亜型)「BA.2」。オミクロン株に比べ、感染力は1.25倍とされ、別の人に感染させるまでの世代時間も短い。感染研の推計では、5月第1週には、9割以上がBA.2に置き換わる。感染拡大の力はより強く、感染速度もより速くなる恐れがある。

◆3回目接種や集団免疫がカギに

 BA.2への対抗手段に挙げられるのは、抑制要因の一つでもあるワクチンの3回目接種だ。横浜市立大の研究では、3回接種した人の抗体は、主流のオミクロン株とBA.2両方に有効だった。ただし、3回目接種率は高齢者で8割を超えたが、全体では4割にとどまる。
 第6波は、感染者数が過去最多で、集団免疫率が上がっていることも好材料だ。気温の上昇によって換気をしやすくなり、屋内で過ごす時間も減れば感染抑制につながる。
 まん延防止等重点措置の行動制限は解除されたが、全国の1日の新規感染者数は4万人を上回っており、第5波のピーク約2万6000人より、まだかなり多い。脇田氏は「病床使用率は高くないが、新規感染者数を軽視していいわけではない。一定程度の感染リスクがあると認識して行動を」とし、ワクチン接種や基本的な感染対策の徹底を呼び掛けた。

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