国民民主党って与党なの? 予算賛成、政策協議で波紋 識者はどう見る

2022年4月2日 06時00分
 旧民主党系の議員らが所属する国民民主党(衆院11人、参院12人)が政府の2022年度当初予算に賛成し、与党と政策協議を続けていることが波紋を広げている。他の野党は「事実上の与党宣言で、野党の役割放棄だ」と批判するが、国民民主の玉木雄一郎代表は「何でも反対ではない新しい野党の姿だ」と主張する。野党はどうあるべきなのか。夏の参院選の構図にも影響を与えそうな対応への評価を識者2人に聞いた。(井上峻輔)

◆「有権者に新機軸。権力監視も放棄なら問題」 同志社大・吉田徹教授

吉田徹氏=本人提供

Q与党と野党の定義は。
 「議会の多数派となり首相指名で多数派の候補に投票するか。政策の立案、形成、可決に携わるか。それが与党の客観的定義で、それ以外は野党に含まれる」
Q当初予算に賛成し、与党と政策協議する国民民主が野党と言えるか。
 「連立協定を結ぶとか、包括的な政策形成の場に入る段階までいっていないので野党であるのは間違いない。だが、予算への賛成は政権の基盤そのものを是認することで、極めて異例で大きな方針転換だ。ただ、米英は与野党の境が明確な2大政党だが、多党連立が常態化するオランダやデンマ ークはかなりあいまいで、状況次第でその境は流動的になり得る。国民民主の対応は野党の存在に一石を投じるような選択だった」
Qこのような対応をとる政党が現れた背景は。
 「かつてはどの政党も支持基盤がしっかりしていたが今は無党派層が増え、イデオロギーより自分たちの生活に資する政策を担えるかとの期待値で投票先を決める。野党が権力と対峙たいじするだけで支持される状況ではない。国民民主も新機軸を打ち出したいのだろう」
Q日本政治への弊害は。
 「政策実現のための競争があること自体は健全で、もっと政策ベースの議論をすれば野党への見方は変わる。一方、権力の監視も野党の役割で、それを放棄してしまうなら問題だ。与党と取引することが常態化すれば、国民から不信感を持たれる」

よしだ・とおる 専門は比較政治。欧州先進国の政党政治を研究。著書に「『野党』論─何のためにあるのか」など。

◆「立民に反発の『反野党』、良いように使われるかも」 上智大・中野晃一教授



中野晃一氏=本人提供

Q国民民主を与党と野党のどちらとみるか。
 「与党に入りたいように見えるが入れてもらえるかは別で、良いように使われておしまいになる可能性も十分ある。そういう意味ではどちらでもなく、あえて言えば『反野党』ではないか。自民党より立憲民主党に非常に反発し、競争相手としているような動きだ」
Q昨年の衆院選で野党共闘の枠組みに入らなかったが、政権と対峙たいじする立場だった。そこに期待して投票した有権者もいたはずだ。
 「市民連合が呼びかけた政策合意には入らなかったが、広い意味で野党共闘の一翼だったとも言える。政党としての立ち位置がなし崩し的に変わっていくと、有権者からすると投票後にどうなるか分からない政党になり信頼できなくなる」
Q自民の政権運営を利することにつながらないか。
 「当初予算は政権の1年間の大方針で、賛成したら予算を基にした政策を批判しにくくなる。一方の自民は国民民主に何かを譲歩したつもりはないだろう。改憲などを考えれば、使い勝手はあると思っているのではないか」
Q参院選で野党候補の一本化の障害になるのでは。
 「野党共闘しないと勝負の形にならないが、全野党で全国一律は困難になっているのは事実だ。全改選1人区は難しくても、地域事情に合わせ現実判断ができるか。勝負になる選挙区でできるだけ一本化しないと、参院選後の国会状況はひどいことになりそうだ」

 なかの・こういち 専門は政治学。国政選挙で野党候補の一本化を後押しする市民グループ「市民連合」運営委員。

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