「心も街と一緒に壊された」美しかったマリウポリは建物9割が損壊 包囲1カ月、降り注ぐミサイル

2022年4月2日 06時00分

マリウポリの公園で昨年夏、肩車をして遊ぶプラウディワヤさんの夫と息子(本人提供)


 ロシア軍がウクライナ南東部の要衝マリウポリへの包囲攻撃を始めて1日で1カ月になった。3カ月余り前、繁華街には大きなクリスマスツリーが輝き、市民は屋外スケートを楽しんでいた。その街には今、1日100発近い砲弾・ミサイルが降り注ぎ、市民はわずかな食料と水を分け合い、地下室で息を潜めている。
 「天気の良い週末は家族で河川敷に出掛けた。大好きな街は破壊されてしまった」。ウクライナ西部に逃れた産科医ガリーナ・プラウディワヤさん(31)が電話取材に答えてくれた。マリウポリ脱出の際、検問に当たるロシア軍に怪しまれないよう、携帯電話にあった思い出の写真はほぼ消去。公園で撮った夫(33)と息子(3つ)の写真だけ残した。

昨年11月、街灯などで照らし出されたマリウポリの繁華街=市議会フェイスブックより

 週末に家族連れが集まる公園は、春になると一斉に花が咲き、夏には緑の芝が広がった。短い夏を楽しもうと、子どもたちは夢中になって噴水の周りで遊んでいたと懐かしむ。
 「遠くに光って見える海が好きだった」とプラウディワヤさん。街は黒く焼け焦げてしまい、「私の心も街と一緒に壊された」と話す。マリウポリ市の発表によると、死者は既に5000人を超え、建物全体の9割ほどが損壊したとされる。
 マリウポリ近郊からポーランドに避難したオクサナさん(42)は、週末にヨットが停泊するマリーナや映画館に出掛けたという。年末年始はイルミネーションで街が輝き、毎年心が躍った。「街は発展し、みんな平和に暮らしていただけだったのに…」とつぶやいた。(カイロ・蜘手美鶴)

3月29日、ウクライナのマリウポリ郊外の親ロシア派支配地域で、破壊されたアパートの近くを犬と散歩する男性=AP

マリウポリ ウクライナ南東部ドネツク州の第2の都市で人口は約40万。黒海に通じるアゾフ海の港湾都市として発展してきた。重工業が盛んで、ウクライナのドネツクとルガンスク両州からなるドンバス地域の炭鉱業、鉄鋼業の中心地。ウクライナ語よりもロシア語を話す住民が多いとされる。ロシアが「民族主義団体」と糾弾するウクライナ内務省直轄の精鋭部隊アゾフの拠点としても知られる。

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 ウクライナの首都は、これまでロシア語読みの「キエフ」と表記していましたが、今後はウクライナ語の発音に近い「キーウ」に変更します。ロシアによる侵攻で命を奪われている人びとが求める表記とします。

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