「STOP PUTIN」は不可? ウクライナ人写真展示で東京メトロ側が難色、表参道駅の広告スペース

2022年4月1日 20時49分
 ロシアによる侵攻が続くウクライナに関心を持ってもらおうと、写真家の宮本直孝さん(60)=東京都港区=が4~10日、東京メトロ表参道駅(同区)のコンコースで、日本で暮らすウクライナ人23人のポートレート写真を展示する。「STOP PUTIN(プーチン)」と書かれたプラカードが写るものなど7枚を東京メトロ側に展示不可とされたが、宮本さんは「被写体の表情で伝わることがある」として、写真を修整し、開催を決めた。(加藤益丈)

◆自作プラカードを持って

 宮本さんはこれまで、シリアやアフガニスタンなどから来日した難民やパラリンピック選手らの撮影を手掛けてきた。今回は「デモっぽくしたい」と「NO WAR」「STOP RUSSIA’s WAR」などと書いた自作のプラカードを持ってもらい、3月下旬に撮影。ほぼ等身大の写真23枚を表参道駅の青山学院方面改札近くの通路で壁約30メートルにわたり、並べることにした。
 撮影に応じたウクライナ南部ザポロジエ出身のアデリーナ・リセンコさん(17)=東京都狛江市=は、右手に土産物の盾を、左手には国旗のモチーフである青空と麦畑を自身で描いた絵を持ち、写真に納まった。撮影後、「盾で国を守る気持ちを表した。多くの人にウクライナに関心を持ってほしい」と訴える。

◆「特定の政治に関する」など理由に

「STOP PUTIN STOP WAR」と書かれたプラカードを持った女性のポートレート(左)と「PUTIN」の文字を塗りつぶす修正をした写真。表参道駅では(右)の写真展示する=いずれも宮本直孝さん提供

 しかし、東京メトロ側は23枚のうち7枚の展示を認めなかった。「STOP PUTIN」と書いたプラカードを持った2枚は「特定の政治に関する」などとし、プラカードや服の一部が血のような赤色になっている2枚は「不快の念を与える恐れがある」などと理由を挙げた。「STOP THE WAR」の「WAR」の文字をロシア国旗の色に塗ったプラカードが写ったものなど3枚は「国旗の使用は尊厳を損なわないよう注意する」という規定に触れるとした。
 展示場所は広告を掲示するスペース。東京メトロの担当者は取材に「業務委託した広告代理店が、公共の場という事情も踏まえて判断した」と話した。

◆「知見得る自由奪うことにつながる」

 表現の自由を巡る問題に詳しい宮下紘・中央大教授(憲法)は「駅構内は私有地でも多くの人が利用し、公共性は高い。抗議活動が計画されているなど具体的な危険が差し迫っているのでなければ、表現の自由は可能な限り認められなければならない」と指摘。「表現者側だけでなく、表現に触れる何千、何万の人が新しい知見を得る自由を奪うことにつながる」と警鐘を鳴らす。
 宮本さんも展示できない理由に納得できず、代わりの写真もないとして中止を検討したが「重要なのは注目してもらうこと」と再考。「PUTIN」の文字を塗りつぶして見えなくし、血を思わせる赤色を修整するなどし、開催することにした。「23人の思いを多くの人に伝え、この戦争やウクライナ人のことを考えてもらうのが目的。23人は表情で訴えている。伝わることはある」と話した。修整前のオリジナル写真も今後、別の場所で公開を目指す。

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