「新聞はあなたを守る」

2022年4月2日 06時34分
 来週六日の水曜日から「春の新聞週間」が始まります。新聞・通信・放送各社が加盟する日本新聞協会の行事である新聞週間は毎年春と秋の二回あり、秋の週間は一九四八年に始まりました。春は二〇〇三年に始まり、進級や就職などの機会をとらえて、新聞購読を呼び掛けています。
 終戦間もない第一回の標語は「あなたは自由を守れ、新聞はあなたを守る」。当時は新聞用紙が乏しく、通常二ページでの発行でしたが、中部日本新聞(東京新聞を発行する中日新聞の前身)は新聞週間初日、四ページに増やして特集記事を掲載しています。
 戦前や戦中、言論の自由が奪われていたとはいえ、戦争を防げず、むしろ積極的に協力して内外に多大な犠牲を強いたことへの反省と、報道を通じて自由を守り抜こうとする先人の決意を感じます。
 いつの時代も強権体制にとって、自由な言論や報道は目障りなのでしょう。
 ウクライナを侵攻したロシアでは、報道機関や情報発信への当局の圧力が強まり、プーチン政権を批判した独立系新聞が休刊に追い込まれました。昨年ノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ氏が編集長を務める「ノーバヤ・ガゼータ」です。反戦デモへの弾圧も続いています。
 日本では街頭演説中の安倍晋三首相(当時)にやじを飛ばした人を警察官が排除した行為に対し、憲法が定める表現の自由を侵害したと指摘する地裁判決が出ました。
 読者からは「やじは演説を聴きにきている人にとっても邪魔だ」との意見が届きましたが、私たちはそう考えるべきではないと思います。
 危害を加えようとしている状況ならともかく、自由な言論を封じては、ロシアの強権主義と同じになるからです。言論に対する圧力を認める先にあるのは、過去の日本や今のロシアを見ても明らかなように、戦争への道です。
 一九四九年の第二回新聞週間の標語は「自由な新聞と独裁者は共存しない」。新聞は自由と民主主義を守り、独裁政治を阻まねばなりません。
 インターネット上で偽情報があふれる中、正確な情報提供に努める新聞に対する期待がより増しているように感じます。新聞は自らの役割を誠実に果たしているか、読者の皆さんとともに考える一週間にしたいと思います。(と)

関連キーワード


おすすめ情報