<新型コロナ>忍び寄る「自粛警察」 飲食店に匿名嫌がらせ

2020年5月2日 16時00分

東京・高円寺のダイニングバー「いちよん」の看板で見つかった休業を求める張り紙=提供写真

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言下で行政からの休業要請に応じているにもかかわらず、一部の飲食店に匿名の張り紙などで休業を求める行為が相次いでいる。こうした行為はインターネット上で「自粛警察」と呼ばれ、店主らは「行き過ぎた嫌がらせだ」と反発。識者は「日本特有の同調圧力が悪い方に出た」と指摘する。
 「安全のために、緊急事態宣言が終わるまでにライブハウスを自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます。近所の人」。四月二十六日、東京・高円寺のダイニングバー「いちよん」の看板に張り紙が見つかった。
 店主の村田裕昭さん(41)によると、同店は飲食店。都は午後八時までの営業を求めているが、緊急事態宣言を受け四月十日から自主休業した。店内のスペースではこれまで、不定期でライブを開催しており、二十六日は女性歌手のライブを無観客でネット配信した。
 ライブハウスは休業要請対象だが、都は同時に複数の演奏者を出演させないことなどを条件に「無観客でオンライン配信用ライブを行うことは問題ない」とする。
 「匿名で嫌がらせの張り紙はすべきでない。行き過ぎた非難だと感じる。世知辛い」と村田さん。今後も出演者と相談しながら、無観客でのライブ配信を続けていく考えだ。
 ほかにもツイッター上では、都内の大衆酒場が出した「都の要請を遵守し、感染拡大防止に注意しながら営業を継続する」との張り紙に、バツ印や「バカ」などと書き込まれた写真が拡散。「悲しいし許せない」「気の毒な状態」といった同情的意見が上がっている。
 近現代史研究者の辻田真佐憲さんは「『自粛警察』といった私的制裁は、地域や家族を守るためと善意でやっている可能性があり、手に負えない。驚くほど陰湿な相互監視社会だ」と指摘。「自分や周囲にも差別が降りかかってくるかもしれないとの想像力を持つしかない」としている。

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