<社説>オンライン国会 幅広い合意が前提だ

2022年4月4日 06時45分
 国会でのオンライン審議導入に向け、衆院議院運営委員会が議論を始めた。時代に合わせて国会運営を見直すことに異論はないが、憲法解釈に関わる重要課題だ。議論を尽くし、与野党の幅広い合意形成に努めるべきである。
 憲法五六条は衆参本会議を開く要件である「定足数」を「総議員の三分の一以上の出席」と規定。国会は「出席」を議場にいることと解釈し、衆参各院の規則は「議場にいない議員は、表決に加わることができない」と明記する。
 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、感染症のまん延や大規模災害が発生し、本会議への出席者が定足数に満たない場合、どう対応すべきかという議論が浮上。
 衆院憲法審査会は、緊急事態にはオンラインでの出席を例外的に認める見解を賛成多数で議決し、報告を受けた細田博之衆院議長は論点整理を議運委に委ねた。
 国会でのオンライン審議の実現には「緊急事態」の定義や、オンライン出席の要件など検討課題も多い。療養中や妊娠中の議員も対象にすべきだとの意見もある。審議の公開、議員の本人確認、表決の公正性確保、セキュリティー対策も講じる必要がある。
 議員定数の少ない地方議会で感染爆発が起きた場合、本会議の定足数「定数の半数以上」を割り込む可能性がある。予算や条例を議決する本会議を開けなければ、行政の停滞は避けられない。
 地方議会ではオンライン審議を委員会で導入した例はあるが、本会議では実現していない。地方自治法が定める「出席」は、現に議員が議場にいることだと国が通知しているからだ。
 国会がオンライン審議の実現に大きくかじを切れば、この通知が見直され、地方議会の本会議のオンライン開催にも追い風になる。
 ただ憲法解釈の変更につながる重要問題であり、実現するにしても議論を尽くし、幅広い合意を得ることが前提だ。安易に例外を認めれば政府に恣意(しい)的な憲法解釈を許し、違憲立法につながりかねないからだ。安倍内閣が憲法九条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を認め、安全保障関連法の制定が強行された前例もある。
 改憲派はオンライン国会に代わり、緊急事態条項を創設し、法律と同等の政令制定権を政府に認める改憲をもくろんでいるのかもしれないが、飛躍のしすぎである。

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