<新型コロナ>「入院不要」83歳死亡 当初検査断られ→陽性後も待機→自宅で急変

2020年5月1日 02時00分

死亡した男性のPCR検査をした国立病院機構西埼玉中央病院=30日、埼玉県所沢市で(本社ヘリ「おおづる」から)

 救急搬送先の検査で新型コロナウイルス感染が判明したのに、保健所から自宅療養を求められた埼玉県内の八十三歳の男性が急速に重症化し、四月二十七日に死亡していたことが、遺族らへの取材で分かった。医療関係者からは「重症化リスクの高い高齢者に対する対応としては不適切だった」との声も上がっている。 (佐藤直子)
 男性の長男(55)によると、男性は四月初旬から発熱やせき、味覚障害など新型コロナウイルスの特徴的症状が続いたために地元の病院を受診。しかし、解熱薬を処方されただけで自宅に帰された。心配になった男性は、数日後に地元の狭山保健所に「PCR検査をしてほしい」と訴えたが、自宅療養を指示された。
 男性はその後一~二日で症状が悪化。救急搬送された国立病院機構西埼玉中央病院(同県所沢市)で検査を受けた。入院はできず、検査結果は翌日、保健所を通じ陽性と伝えられたが、保健所は再び自宅療養するよう指示。男性は「陽性だから入院させてほしい」と頼んだが、断られた。
 その一~二日後に男性の容体は急変し、別の病院に搬送された。この時点で人工呼吸器が必要なほど重症化しており、四月二十七日に死亡した。
 男性の入院後、妻(80)も検査で陽性と判定され、現在は入院、治療を受けている。
 長男は「父が検査を受けられたのは発症の約十日後。もっと早く検査してほしかった。陽性でも入院を断られ自宅待機では、放置と同じだ」と訴える。
 これに対し、狭山保健所の保健予防推進担当は「検査は医師らの所見に応じ行う。入院も医師らの判断に任されている」と説明。西埼玉中央病院の山崎悦伸管理課長は「男性は即入院が必要な症状ではないという医師の判断は適切だった」と話した。
 埼玉県では四月、東松山市の七十代男性や白岡市の五十代男性が、陽性判定されたものの軽症と診断され、自宅待機中に容体が悪化して亡くなっている。
 蔵前協立診療所(東京都)の原田文植(ふみうえ)所長は「今回の場合、重症化リスクが高い高齢男性ということを考え、西埼玉中央病院はほかの病院を紹介してでも入院させるべきだった」と指摘。検査が遅れたことについては、「陽性判定されればできる治療もある。ずっと検査が抑制されており感染を確定できない状況が続く。放置され重症化するケースはもっと増える」とPCR検査の拡充を訴えた。

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