9月入学 高いハードル 「制度変更には時間とお金必要」

2020年5月1日 02時00分

9月入学制の導入を呼び掛ける署名サイトのページ(一部画像処理)

 新型コロナウイルスの感染拡大による学校休校が長引く中、九月入学制が選択肢として急浮上してきた。期待する声が上がる一方、短期間で大掛かりな制度変更が必要で実現のハードルは高く、「まずは学校再開の道を探り、双方向オンライン授業を」との批判がある。受験生は大学入試がどう変わるか不安視している。 (土門哲雄)
 ■署名活動に賛同 
 「日本全ての学校の入学時期を四月から九月へ」。署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」で高校三年生が呼び掛け、約二万人の賛同が寄せられている(三十日午後時点)。「九月から平等な教育を受けられる可能性が高い」「入試も準ずることで混乱を抑えることができる」といった理由を挙げ、現職教員も賛同のコメントを寄せている。
 全国知事会で話題となり、東京都の小池百合子知事は前向きな考えを表明。都の配信動画で小池知事と対談した教育評論家の尾木直樹さんも長所を強調した。
 一方で、課題も多い。
 元文部科学省事務次官の前川喜平さんは「学校制度全体を変えるには時間とお金が必要で、今議論すべきことではない」と批判する。欧米諸国などと同じ秋入学に「基本的には賛成」としながらも、始業時期がずれるため、新入学の児童生徒が一時的にふくれあがることによる教員や教室の確保、検定料や授業料収入が後ずれする大学への財政支援など、多くの課題があると指摘する。
 「子どもの一日は大人の一カ月分にも相当する。安易に休校を続け、子どもの学習権をおろそかにしてはいけない」と強調。感染防止策を徹底しながら「地域や学校段階に応じて再開の道を探り、双方向オンライン授業を直ちに導入することが先決だ」と訴える。
 ■大学入試は 
 大学入試はどうするのか。来年一月の大学入学共通テストまでに学習範囲の授業が終わらず、地域や高校生と既卒生の間で不公平が生じる懸念がある。
 前川さんは「九月入学枠をできる限り広げて、大学入学共通テストを一月だけでなく六月にもやるようにしたらいい」と提言する。
 文科省OBで京都造形芸術大客員教授の寺脇研さんも「一月の試験はやめた方がいい」と指摘。「大学の九月入学には賛成だが、小中高まで全部変えたら大ごとになる。今年の高三に対して特別措置で対応し、浪人生など四月入学の希望者には個別の試験を実施すればいい」と提案する。
 「入試改革を考える会」(代表・大内裕和中京大教授)は「受験生は大きな不安を抱いている」として、大学入試の実施時期を遅らせる、出題範囲の限定、共通テストを中止して個別試験を行うなどの対応が必要とし、対応策を早急に示すよう文科省に求めている。

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