店員、配達員…コロナ禍、働くのは社会のため 心ない言動に耐え…

2020年4月30日 16時00分

レジスターの周りにビニールを張り作業をする店員=23日、東京都練馬区で(戸田泰雅撮影)

 新型コロナウイルスの感染者が増加する中、多くの客と接するスーパーの店員や配達ドライバーらは感染リスクに注意しながら職務に当たっている。こうした社会生活の維持に不可欠な仕事に就く人は「エッセンシャル・ワーカー」と呼ばれるが、客からの心ない言動にさらされることも。社会の重要な担い手への理解や配慮を求める声が強まる。
 「人間扱いされず悲しい」「品切れのクレームで精神的に疲れた」。「全国スーパーマーケット協会」(東京)には現場の店員からさまざまな相談が寄せられた。
 コロナ禍で各店舗内の風景も一変した。レジ付近には透明なシートが設置され、お釣りはトレー上で受け渡しし、棚には買い占め防止の注意書きを掲示。利用客はちょっとした買い物でも何かと気を使うようになった。
 家族連れを指して「『密』になる。なぜ家族で来ているんだ」と店員に迫る客もいるという。同協会の担当者は「ストレスで利用客のいら立ちが募っている」と受け止めるが、「生活を支えようと頑張る店側の事情も分かってほしい」と話す。
 「物流が止まると、社会が止まる。それはあってはならない」。約十万人のトラック運転手らが加盟する運輸労連(東京)の難波淳介中央執行委員長は運転手らの思いをこう代弁した。
 三月には「荷物の届け先で消毒スプレーを掛けられた」との相談が寄せられた。各運送会社は運転手の手のこまめなアルコール消毒に加え、対面を減らすため荷物を玄関先に置くなど対策を徹底。過剰な反応は徐々に聞かれなくなったという。
 医師が院内感染し外来診療を取りやめた病院、バス運転手の感染による路線バスの運休、郵便局職員の感染で配達や窓口の一時停止…。エッセンシャル・ワーカーが罹患(りかん)し、日常生活に大きな影響が出た事案も各地で報告されている。
 こうした中、医療関係者ら、感染リスクと向き合いながら最前線で働く人たちに、青色の光で感謝の思いを示す運動が広がりを見せ、東京都庁などが夜間にライトアップされた。
 エッセンシャル・ワーカーについて、働き方に詳しい木下徹郎弁護士は「コロナ禍が長期化する中、社会生活の維持には彼らの力が不可欠だ。過酷な状態への一層の理解と配慮が必要だ」と呼び掛けている。
<エッセンシャル・ワーカー> 英語で「必要不可欠な」を意味するエッセンシャルと、「労働者」のワーカーを組み合わせた言葉。米政府は医療、エネルギー、通信、農業、食品などの分野で社会を支える人々としている。新型コロナウイルス感染症の拡大で、社会を支える担い手として重要性が再認識されている。安倍晋三首相も4月17日の記者会見で電力や鉄道、ごみ収集などの職種を挙げながら、感謝の言葉を述べた。

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