浅草 亀十【台東区】行列必至! 職人技が冴える、東京三大どら焼きの名店「亀十」~ぐるり東京 名品さんぽ~

2022年4月12日 09時30分

ぐるり東京 名品さんぽ


名の知れた定番商品から隠れた名品まで。東京のイチオシ商品をご紹介します。


行列必至! 職人技が冴える、東京三大どら焼きの名店「亀十」

新店舗が次々と誕生しては消えていく、オールジャンルのグルメ激戦区、東京。そのなかで何世代にも渡ってお店を守り続け、客を魅了し続ける名品、名店がある。なぜ、それほどまでに人を惹きつけてやまないのか。その魅力を探る「名品さんぽ」の第1回は、浅草の行列の絶えない和菓子屋で知られる「亀十」を訪ねた。

大正末期創業。昔ながらの手作りの味を守り続ける

 和菓子店なら定番商品といえる「どら焼き」。庶民的なおやつの代表格だが、そのどら焼きのなかでも“東京三大どら焼き”と称される絶品どら焼きがある。上野の「うさぎや」、東十条の「草月」、そして浅草の「亀十」だ。
「創業は大正末期といわれています。東京大空襲の際に資料が消失して詳しいことはわかりませんが、おかげさまで創業家3代続く和菓子店として今も多くの人にご愛顧いただいております」

インタビューに応じてくれた井上修一さん

そう笑顔で語るのは店舗を切り盛りしている社歴25年の主任、井上修一さんだ。「亀十」の店名も正確な由来は不明だが、長寿であり、縁起のいい動物とされる「亀」と、一から十のひと単位の中で、一番数字が大きい十を掛け合わせたと伝えられているという。
 創業から100年近くが経つが、今なお創業当初から変わらず店頭に並び続ける商品がある。それが最中と羊羹だ。戦中、戦後間もなく砂糖は高価であり、あんこは贅沢品。そのあんこを最中で挟みきれないほどたっぷりと盛り、当時の人々を驚かせた。

あんこがたっぷり亀十もなか(1個330円)

「最中の見た目は、実は昔と全く変わっていません。それでも今でも初めて見たお客様には驚かれますね」と井上さん。看板商品であり続けた最中は、時代を超えてなおインパクトを与える圧巻の見映えだ。

1日平均3000個作るどら焼きは全て手焼き

 だが、亀十の知名度を一気に押し上げたのは最中ではない。最中、羊羹同様、昔からある定番商品の一つ「亀十のどら焼き」(1個360円)だ。人気に火がついたのは1990年代後半、あんこと生クリームをミックスした“生どら焼き”が話題になり、あんバターどら焼きなど和洋折衷なスタイルが広がると、その流れに乗って亀十のどら焼き人気がクチコミで広がっていく。そして、いつしか“東京三大どら焼き”の一つに数えられるようになり、開店前から列ができるのが日常風景になっていった。
「どら焼きは試行錯誤を繰り返して今のスタイルになりましたが、一つ一つ職人が手焼きする昔ながらの手法を守り続けています。銅板に均一に同じ大きさ、焼き色の生地を焼くには熟練の技が必要で、焼き専門の職人がいるほどです」
焼き専門の職人と、餡付け専門がおり、計量や袋詰めなど分業で手際良く行われる。接客と製造あわせて約30人体制で、1日平均3000個のどら焼きの販売を含めて店を切り盛りするというからすごい。

保存料、添加物を使わない素材の味を追求

 亀十のどら焼きの特徴はなんといっても「生地」だ。手にした時の驚くほどのふわふわ感。生地を潰さないように優しく手で持ち、口に入れた時のふわっとした舌触りと、もちっとした食感、噛むほどに口の中に広がるあんこの優しい甘味と、程よく溶け合う生地がたまらない。
 魅惑の生地の材料は、小麦粉と砂糖と水。少量の重曹を加えるものの、その他の保存料や食品添加物は使われてない。絶妙なバランスの配合と、職人の技あっての生地は、「亀十のどら焼きを印象付けるもので、マネできるものではないうちの強み」と井上さんも言い切る。

小豆あんと白あん(1個360円)

 生地だけではなく、もちろん餡も自然の味だ。小豆あんと白あんの2種類があり、小豆あんは北海道十勝産の小豆を、白あんは小豆あんよりなめらかな手亡豆を使用。どちらも機械まかせにせず、時間をかけて丁寧に炊き上げる。甘さ控えめの商品が数多く出回る昨今、そのなかでは若干甘めの部類といえるが、抹茶やほうじ茶、そしてブラックコーヒーなど渋めのドリンクと一緒にいただくとこれが丁度いい。計算された甘さであることに深く納得させられる。

「並ばないと買えない」希少性も人気の秘密

 一度食べたらまた食べたくなる。そんなリピーターが後を経たず、地元だけではなく、浅草という地域柄、観光客も多く、どら焼き目当てに遠方から足を運ぶ人もいるという。ここ数年はSNS効果でさらに人気を博し、コロナ禍であっても客足に影響がないという繁盛ぶりだ。
「外出を控える人が多い分、箱買いされるお客様が増えました。5個以上で箱詰め可能です」と井上さん。いつものおやつに、贈答用にと喜ばれる逸品だからこそ、並んででも買いたいという人は後を絶たず、並ぶ価値ありとわかっているから列は延びる。
 店は浅草寺の雷門と目と鼻の先、東京メトロ銀座線2番出口から徒歩1分の距離だが、2番出口まで行列ができているのも珍しくはない。待ち時間の平均は30分~1時間、ネット販売をしていないため、どら焼きを手にするには「並ぶ」の一択だ。
 それでもキビキビと働くスタッフの動きに無駄はなく、客の誘導の手際の良さ、丁寧な梱包と連携が取れた動作は見ていて爽快。商店が軒を連ねる通りは活気があって時間の流れは比較的早く感じられる。
 「ネットでなんでも買える時代ですが、これからも対面販売で、足を運んでくださるお客様を大切にしながら、手作りの味を届けていきたいです」と最後に井上さんは歯切れよく語った。
 すぐそばには浅草寺があり、隅田川が流れる。ようやく手にしたどら焼きを抱えて浅草散策するには、浅草花やしきや浅草六区、かっぱ橋道具街など、見所は無数と言っていいほど目白押しだ。

<今回の取材先>

有限会社 亀十
大正末期創業。「亀十のどら焼き」は東京三大どら焼きの一つに数えられ、店先には開店前から行列ができる。どら焼きの他に黒糖を使った「松風」や薄く平らなかりんとう「うすばかりんとう」などが人気。お正月やお盆は特に混み、平日は列が若干短い傾向にある。
<データ>
住所 東京都台東区雷門2-18-11
営業時間 営業時間 10:00〜19:00
定休日 不定休(月1回程度)
※2022年5月より価格改訂あり

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