平和祈る歌 高らかに ウクライナ支援コンサート 12、13日・新宿区で 国境超えたウクライナ・ロシアゆかりの歌披露

2022年4月6日 07時10分

ウクライナを支援するチャリティーコンサートのリハーサルをする出演者=いずれも新宿区の「あばんせ」で

 ウクライナやロシアにルーツのある反戦歌は多い。戦火にまみれ抑圧も強かったソ連時代、そして今、「平和」「自由」「隣人愛」を渇望する民の声が歌となり、国境を超え広まった。そんな反戦・平和の歌を集めたウクライナ支援のチャリティーコンサートが今月開かれる。
ママ、誰に祈ったの?
どれだけ子どもらを
奪うのか?
あなたのものじゃない
戦争は
 ウクライナのロックバンド「オケアン・エリズィ」が歌う「あなたのものではない戦争」の一節だ。

歌手のKEIJIさん          

 ロシアのクリミア侵攻翌年の二〇一五年に発表された曲だが、最近、ユーチューブなどで世界中で視聴されている。歌手KEIJIさんは、日本語でも伝えたいと訳詞し、歌い始めた。
 「『あなたのものではない戦争は』という言葉は、戦争がウクライナのものでないという思いと同時に、ロシア兵への訴えでもあると感じます。戦争は子どもを奪い未来を奪う。だれのものであってもならない。そんなメッセージが込められていると思いました」
 KEIJIさんは東京芸大声楽科を卒業後、シャンソンやジャズ、ラテンなど幅広いジャンルで活動している。この歌を新宿区四谷のシャンソニエ「ヌーヴェルあばんせ」で披露したところ、オーナーの池田進さんが感銘を受けた。
 「不条理の中でつぶされそうな魂の言葉を残そうと生まれてくる歌もある。ソ連時代、言論統制をかいくぐるように人々の心に伝わり、国境も超え広まった歌も多い。そうした曲を今だからこそ集めて、聞いてもらうコンサートがあってもいいんじゃないか」
 今月予定していたヌーヴェルあばんせの四十周年コンサートを、急きょウクライナ支援のチャリティーコンサートとし、収益を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)協会に寄付することとした。
 二日間で八十曲近くが披露されるが、そのうちの二十曲余りがウクライナやロシアに原曲があったり、詞の舞台となったり、ゆかりのある反戦・平和の歌だ。
 意外な曲もある。かつて日本で大ヒットしたダニエル・ビダルのシャンソン「天使のらくがき」は、ソ連で歌われていた「私たちの隣人」が原曲だ。詞は「天使の…」とは異なり「はるかなウクライナの草原…」で始まる。その地では、ひとたび家の門を通った人は命ある限り、友として迎えられる−そんな歌詞だ。

歌手の小川はるみさん        

 小川はるみさんは、この曲を「ウクライナの草原に」という邦題にして歌う。「多くの民族が共存するロシアやウクライナだからこそ歌われてきた隣人愛、友愛の曲だと思います」
 コンサートでは、二つの「ひまわり」も歌われる。初日が映画「ひまわり」のテーマ曲。マルチェロ・マストロヤンニ、ソフィア・ローレン演じる夫婦が戦争で引き裂かれる悲哀を描いた名画だ。ロシアが主な舞台で、映画史に残るラストのひまわり畑のシーンはウクライナで撮影された。二日目がフランスを代表する俳優、歌手イブ・モンタンの歌った「向日葵(ひまわり)」だ。
 ひまわりはウクライナ、ロシアとも国花である。
 池田さんは言う。「太陽に向かって咲くひまわりは一定の角度に戻る。だから『再会』のシンボルでもあるそうです。一日でも一分でも早く戦争が終わり、ウクライナの避難者は故郷に、ロシア兵は家族のもとに帰る日が来てほしい。そんな願いも込めました」

ウクライナを支援するために店内に置かれた募金箱

 ◆ 
 コンサートは今月12、13日、新宿区立牛込箪笥(たんす)区民ホールで。最寄りは地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅。問い合わせ=(電)090・3344・2713(あばんせ池田)へ。
 文・稲熊均/写真・沢田将人
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