入管の3密解消を 「部屋を分けて」17カ国の収容者が要望書

2020年4月27日 12時52分

収容者が作成した要望書=支援者提供

 新型コロナウイルス感染拡大の中、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の収容者28人が連名で処遇改善を求める要望書を作り、支援者に託した。専門家は「過密な集団生活でストレスは当然。仮放免の柔軟運用や代替施設の活用で3密(密閉・密集・密接)を解消し、命を守る措置を」と求める。 (安藤恭子)

◆発熱、味覚ないと訴える人も

 「感染拡大しない為、感染を減らせる為、皆に一人ずつ部屋を分けてもらいたいです」―。たどたどしい日本語で個別の収容を求める要望書。賛同した二十八人はいずれも男性で、国籍はネパールやパキスタン、フィリピンなど十七カ国に上る。大半が二、三人ずつ、同じ部屋で生活している。
 東日本入管によれば、新型コロナの検査を受けた人や感染者はいない。ただ、十六日に要望書を受け取り、入管に伝えた面会ボランティアの都留孝子さん(57)によれば、今月に入り発熱や味覚のなさを訴える収容者が現れ、不安が高まっているという。「収容者たちはまるでかごの中の鳥で、自ら命を守るすべがない。切実に受け止めた」
 都留さんが収容者に聞いた話では、先週の段階でマスクは一人に一枚ずつ配られたが、コロナ対策の説明はない。一部屋あたりの人数も変わらず、夜はマットレスを密着するように敷いて寝る。一つのテーブルで食事も共にしている。
 二十一日現在、東日本入管の収容者は二百五十八人もいる。同入管の三宅一紀渉外調整官は「個別の収容を求める収容者の要望については、施設の制限もあり難しい。適切な対応は検討する」と述べる。

◆仮放免の動きも 基準は分からず

 そんな中、変化の兆しも表れている。支援者によれば、この一週間で少なくとも三十人近い収容者に対し、一時的に外に出られる仮放免が決まった。クルド人の夫が収容されている日本人女性も、知らせを受けた一人だ。「発熱した人のうわさも流れ、夫のことを心配していた」
 ただ、ほっとする一方で、仮放免が決まった理由は分からず、複雑な思いもある。「糖尿病など重い持病のある人でも仮放免が認められていない人がいる。感染リスクの高い人への配慮はどうなっているのか」
 出入国在留管理庁によれば、入管施設で現在までにコロナの感染者は確認されていない。「今後、引受人がいる人などには、より柔軟に仮放免を運用する方針」という。

◆日本に住む外国人に配慮を

 NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」などは二十日、国への緊急共同要請を出し、受け入れ先のある全収容者の解放や、感染が疑われる収容者への速やかな検査や医療の保障を訴えた。副代表の鈴木江理子・国士舘大教授(移民政策)は「収容者の多くは日本に家族がいたり、迫害の恐れから母国に帰れない事情を抱える。今回さらに、物理的に出国できない状況が加わった。長期滞在を想定しない入管施設の集団生活では、感染から命を守れない」とし、仮放免の柔軟運用や民間施設も活用した「三密」の解消を求める。
 合わせて求めるのが、日本に暮らす外国人への配慮だ。鈴木氏によれば、住民基本台帳に載らないため、一律十万円給付の対象外となる外国人は七十万人を超える。この中には、収容者ら非正規滞在者だけでなく、就職活動や出国準備、就労先の変更などで、対象外となった留学生や技能実習生らもいる。
 「社会の弱い部分を放置してきたしわ寄せが、コロナ禍で顕在化している。国籍や在留資格にかかわらず、日本に生きる全ての人たちが排除されず、給付を受けられるようにする努力が大切だ。その人たちの命や健康を守ることが、結果としてコロナのまん延を防ぐ社会的な措置につながる」
 (4月22日朝刊特報面に掲載)

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