<新型コロナ>外出 同行者なく、視覚障害者 苦境 「ガイドヘルパー」広がる活動自粛

2020年4月27日 02時00分

同行援護を利用せず、外出する市原寛一さん=東京都豊島区で

 新型コロナウイルスの感染拡大で、視覚障害者の買い物や通院などの外出に付き添うガイドヘルパーの活動自粛が増え、視覚障害者が苦悩している。経営悪化で事業所が派遣をストップすれば外出はさらに困難になることから、事業所の関係者は、ガイドが買い物の代行などをできるよう同行援護の制度改正を求めている。 (中村真暁)
 四月中旬の夜、視覚障害がある独り暮らしの市原寛一さん(53)=東京都豊島区=は一人で白杖(はくじょう)を手に、近くの飲食店を訪れた。普段はガイドと一緒に出掛けるが、派遣してもらえなかったためだ。
 店員に券売機の操作を手伝ってもらおうとしたが「感染予防のため」と断られ、店を出た。直前に弁当を買おうと訪れたコンビニエンスストアでは人手不足で案内されず、約二十分待ってあきらめた。買い物ができず、自宅にあったカップ麺と菓子パンでしのいだ日もあるという。
 一人ではバスの行き先が分からず通院も難しい。タクシーで行くと、迎えに出て来た病院職員からは忙しかったためか「今度はガイドと来てほしい」と言われた。
 市原さんは「ガイドがいないと生活しづらい」と肩を落としながらも、体を支えてもらいながらの外出は「ガイドの感染リスクを高めてしまいそうで、頼みにくい」と明かした。
 ガイドを派遣する事業所を運営するNPO法人「TOMO」(新宿区)によると、実働するガイドは通常、毎月約百二十人。しかし三月は約六十人で、四月は約三十人までに減る見込みだという。ガイドには高齢者も多く、感染防止のため自粛する人が少なくない。同法人は新規利用の受け付けをやめており、山口和彦理事長は「ガイドに無理は言えない」と打ち明ける。
 日本視覚障害者団体連合・同行援護事業所等連絡会の金村厚司事務局長(59)によると、同行援護制度の利用時間は全国で三月が前年比二・五割減、四月が六割減の見込み。「ガイドの稼働率は、地域や事業所によりけり。事業所が休業すれば、さらに孤立する人が増える」と懸念する。
 同行援護制度とは別に、障害者向けには居宅介護制度があり、家事や買い物などを代行してもらうことができる。感染拡大を受けて二月に国は、申請があれば速やかに使えるよう各自治体に通知したが、金村さんは「通知は周知されていないし、当事者には申請自体が困難」と指摘する。
 現状の同行援護制度では、ガイドによる買い物代行が認められていない。金村さんは「当事者の生命線が絶たれている状態を国は考えてほしい」と話し、買い物代行をできるよう制度の改正を求めている。
<同行援護> 国の制度で「同行援護従業者」というガイドヘルパーが、視覚障害者の代筆や代読を含む情報提供、移動の手助けをする。ガイドは主に、都道府県の指定事業者による養成研修を修了後、事業所に登録して利用者の元に派遣される。買い物などの代行はできない。全国に2019年12月現在、5976事業所がある。ガイドは主婦や退職した高齢者らが就くことが多いが、なり手が少ないことも課題となっている。

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