ジェンダー平等の訴えに反発する男性 建設的な議論を進めるには? SNS「炎上」研究の男性2人に聞く

2022年4月7日 14時00分
 ジェンダー平等を目指す動きが活発になる中、当事者意識から声を上げる女性を嫌悪したり、「男性が虐げられている」と反発したりする男性も少なからずいる。とりわけツイッターなどの交流サイト(SNS)では、激しい言葉で互いを罵倒し合うようなケースもある。対立の構図を脱し、建設的な議論を進めるにはどうしたら良いか。SNSでの「炎上」を分析している2人の男性に意見を聞いた。(神谷円香)

◆「少ない文字数で議論」には危うさ

瀬地山角さん

 日赤は3年前、献血キャンペーンに人気漫画の胸の大きな女性キャラクターを使った。献血会場でそのポスターを見た人が「この場にふさわしくない」と、SNSに写真付きで投稿したことをきっかけに、是非を問う論争になった。
 「炎上CMでよみとくジェンダー論」の著者、瀬地山角東京大教授(58)=ジェンダー論=は、この漫画のファンに献血への関心を持ってもらおうとしたこと自体は「問題ではなかった」とする。その上で「性表現をどう受け止めるかは、個人の感覚の違いもある。不快と思う人がいる以上、皆が見る場所には置かないほうが良い」と指摘する。
 ジェンダーを巡る「炎上」は古くからある。1975年には食品会社のCMで、女性が「私作る人」、男性が「僕食べる人」と言って批判された。瀬地山さんは「女性を応援したつもりだったが、性役割の押し付けになっていた例だ」と分析する。広告などで批判を受けるケースは、こうした性的役割分担の決めつけと、日赤の事例のように、女性の容姿の表現に関わる場合とに大きく二分される。
 近年「炎上」したケースには、限られた場で公開していたキャラクターなどが、SNSで拡散され世に知られた例も多いという。誰もが手軽に意見を発信し、問題提起できるようになった一方、瀬地山さんは「SNSは批判する側も反論する側も結論の応酬になりがちだ。少ない文字数で議論できると思うのは間違い」と指摘する。

◆「謝罪と撤回で終わらせず、議論を」

坂爪真吾さん=本人提供

 同じくジェンダーを巡るSNSでの「炎上」を著書で分析する一般社団法人ホワイトハンズの坂爪真吾代表理事(40)=同=は「被害者意識が異性への憎悪につながる」とみている。
 非正規雇用が急増し、男性にも社会的、経済的な苦境にあり、生きづらさを感じている人も少なくない。その中には、シングルマザーなど特に厳しい状況にある女性への生活支援を「女性優遇」と受け止め、「自分たちは割を食っている、という意識を持つ人もいる」と坂爪さんは指摘する。
 SNSでの議論について「炎上した際、謝罪と撤回で問題を終わりにすることなく、次につなげる議論が必要だ」と坂爪さん。90年代からジェンダー研究をしてきた瀬地山さんも「大事にしてきたのは『何かおかしい』という問題意識。ジェンダーを巡る課題は誰もが当事者だ。自分が課題に対してどういう接点を持てるのか、それぞれが考えてほしい」と話す。

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