<新型コロナ>発達障害児、窮地 在宅でリズム崩し自傷 親もストレス懸念

2020年4月25日 16時00分

「休校要請が出てから、長男を外に連れ出せていない。妻も限界」と語る男性会社員。この日は、自宅で長男と療育訓練を受けた=3月19日、都内で(郡司真子さん提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、発達障害の子どもを育てる親が、心身共に追い詰められるケースが出ている。療育の専門家は「休校が長期化すれば、親に過度な負担がかかり、子への虐待も起こり得る」と指摘し、学校での一時預かりや校庭開放など、障害児と親の双方をケアできる体制の整備を求めている。 (望月衣塑子)
 「妻も精神的に限界。せめて週に一回でも特別支援学校に預けられたら」。小学三年生の長男(8つ)が発達障害という都内の男性会社員(52)は厳しい現状を訴える。
 長男は言葉で何をしたいかまだ十分に伝えられず、外出すると、話す前に突然走りだすなど、衝動行動を起こすため、父親でも外に連れ出すのが難しい。特別支援学校では医療的ケアが必要な子などは一時預かりしてもらえるが、長男の場合は条件が合わず一時預かりもデイサービスも断られ、妻がほぼ付きっきりで長男の面倒をみる。
 男性は「息子は外に出られないストレスからか、自分の頭をたたいたり、突然泣いたりする。学校があれば体を動かせるし、妻も少しは休めるのだが」と話す。
 同じく小学三年生の長男(8つ)を足立区の特別支援学校に通わせる母親(49)は週一回の一時預かりや週数回のデイサービスを受けられているものの、「学校に行けば規則正しい生活になるが、自宅では親への甘えもあり生活のリズムがぐちゃぐちゃ。学校で学べる社会性や集団行動が身に付けられず、とても心配」と話す。学校の同級生には自分の顔を殴るなどの自傷行為を繰り返す子も出ており、母親は「親も子も、皆追い込まれている」と訴える。
 世田谷区の小学四年生の男子児童(9つ)は公立の通常学級に通う。母親(49)は「学校が大好きな息子にとって友達や先生と会えないのはつらそう。給食当番など集団生活のルールを学ぶ機会を失っている。近所の公園は人が多く、心配で遊ばせられない。学校の校庭を学年ごとに区切って、開放してもらいたい」と話す。
 発達支援教室るりえふ(渋谷区)代表の郡司真子さん(51)は「発達障害の児童は親でも意思疎通が十分にできないことがあり、自粛が続くと親のストレスが、虐待につながるケースもある。政府は、障害がある児童の家庭にも目を向け、一時預かりや校庭開放など、柔軟な対応を学校側に求めてほしい」と話す。

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