<Q&A>抗体検査ってPCRとどう違うの? 感染を把握 精度に課題
2020年4月25日 02時00分
政府が新型コロナウイルスの感染経験があるかを調べる抗体検査の実施を検討しています。これまでのPCR検査と何が違い、何がわかるのでしょうか。 (井上靖史、森耕一)
Q 抗体検査って何。
A ウイルスに感染すると、体内から追い出そうと回復に向けた防御システムが働きます。これが免疫反応で、この働きの過程で一定期間後に体内に作られるのが抗体。これを測定する検査です。ウイルスの有無そのものを調べるPCR検査と違う点です。
Q 何のための検査なの。
A 新型ウイルスは感染者の八割が無症状や軽症とされます。症状がなく、知らないうちに感染していた人を抗体検査で調べられる可能性があります。海外では、抗体検査を医療従事者が現場にいられるかの判断材料にしようとする国もあります。厚生労働省は「国民の抗体保有率を調べるため」としており、地域の感染状況を把握することが狙いです。
Q 把握してどうするの。
A かなりの数に上るとされる無症状感染者を含めた地域の感染実態の把握が可能になり、外出自粛の実施や解除といった政策判断に使える可能性があります。米国の研究チームがカリフォルニア州で行った抗体検査では結果から地域の感染者数を推計し、実際に報告されている数の五十~八十五倍に及んでいる可能性があると見通しを立てました。どんな地域や集団に感染が広がりやすいか分かれば、対策につながります。
Q どんなやり方で、いつごろ検査を実施するの。
A 簡単な採血で測定でき、近いうちに始める可能性があります。検査の規模や対象となる地域は明らかにされていません。事業費は国会審議中の政府の補正予算案に含まれています。
Q 問題点はないの。
A PCR検査と比べると、結果の正確性が疑問視される検査機器もあります。厚労省が日赤と共同で実用性を確認しているのはそのためです。新型ウイルスの抗体があると、どれぐらいの期間、再感染しないかもまだ未知数とされます。世界保健機関(WHO)は再感染しない保証はないと注意喚起しています。厚労省は「PCRと組み合わせることで、より精度が高い診断を行える可能性がある」としており、使い方が鍵となりそうです。
関連キーワード
PR情報