<新型コロナ>路上 突然の最期 都内の66歳男性、死後に感染判明

2020年4月24日 02時00分

倒れていた男性に対応した千住警察署(中央)。左奥には、男性が直前に立ち寄ったコンビニ店がある=23日、東京都足立区で

 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、警察が変死などとして扱った遺体の感染が判明するケースが相次いでいる。九日未明、東京都足立区の路上で倒れているところを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された男性(66)もその一人。男性の弟は、まさかコロナで亡くなるとはという気持ちは「皆さん同じだと思います」と、言葉少なに悲痛な胸の内を語った。 (奥村圭吾)
 「道で人が倒れている」
 捜査関係者によると、通行人から千住署に連絡が入ったのは午前四時半ごろ。場所は署のすぐそばだった。署員数人が現場に向かい、自動体外式除細動器(AED)や心臓マッサージで心肺蘇生を試みたが、息を吹き返すことはなかった。死亡後、病院がPCR検査をして陽性が判明。死因は新型コロナウイルス感染症による肺炎だった。
 男性は一人暮らしだった。葛飾区に住む弟は本紙の取材に「少し前までは元気だったのに…」と声を落とした。二次感染を防ぐため、遺体に対面することはできず、写真で身元を確認したという。
 男性とは月に一、二度、電話で連絡を取っていた。最後に話したのは三月下旬。新型コロナの報道を受け「元気してる?」と聞くと、「元気だよ」と明るい声が返ってきた。その後も、体調不良を訴える電話はなかったという。
 男性は倒れる直前、自宅から歩いて数分のコンビニ店で買い物をしていた。店の関係者によると、ふらついた様子で入店し、お茶と食べ物を買って店を出る様子が防犯カメラに写っていた。会計時にはカウンターに寄り掛かり、うずくまるような体勢のまま、ゆっくりお金を支払った。しかし、店員に胸の苦しみや体調不良を訴えることはなかったという。
 近隣住民によると、認知症の母親が他界する三年ほど前までは、手を引いて仲良くお弁当を買いに出掛ける様子も見られた。近所の男性(70)は「町内会には入っていなかった」と話す。
 今後、感染した独居老人が助けを呼べずに孤独死するケースは増える可能性が指摘されている。独居老人や高齢者世帯の異変を察知するため、各区ごとにお年寄りを見回る取り組みがある一方、訪問自体に感染拡大のリスクが伴う難しさもある。
 コンビニ店は直後に店内の消毒を終え、千住署は対応した署員数人を二週間自宅待機させた。署幹部は「今後も感染予防には最大限の注意を払いつつ、一つでも多くの命を救えるように署を挙げて全力を尽くしていく」と話している。

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