神事用大麻農家に三重県が高額フェンス設置を指導 厚労省は厳格規制転換も通知が徹底されず

2022年4月9日 11時31分
大麻草の収穫風景(記事とは直接関係ありません)

大麻草の収穫風景(記事とは直接関係ありません)

 三重県南伊勢町で神事用大麻の再興に取り組んでいる農業法人が、連作障害を避けるために昨年までとは別の場所での栽培免許を県に申請したところ、高額な費用がかかるフェンスや電気柵などの設置を求められていたことが分かった。農業法人は新たな場所での栽培を断念。厚生労働省は昨年9月以降、免許申請時に農家に過度の負担を強いないよう、2度にわたって都道府県に通知していた。
 大麻栽培は1年ごとに都道府県に免許申請する。断念した農業法人「伊勢麻」(松本信吾会長)は2018年から三重県で大麻を栽培している。昨年までの栽培地で連作障害が出たため、別の場所にある約500平方メートルの休耕地での栽培を昨年末に申請。県薬務課は、近くの道路から見えないよう目隠しできるフェンスで囲み、電気柵と監視カメラを設置するよう指導した。
 伊勢麻は、フェンス設置費だけで約850万円必要なため新たな場所での栽培を断念し、農業用フェンスなどのある従来の場所で栽培を続けるという。松本会長は「県の主張は道のない場所で作れというようなものだが、道のない農地はない」と憤る。
 厚労省は昨年まで神事用大麻についても栽培を厳しく規制していたが、含まれる幻覚成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」が極めて微量であることから方針を転換していた。しかし、三重県は今も規制の基本を「外部から隠す」ことに置いていて、県薬務課の川端清史課長補佐は「法律上は(THCの)濃度に関係なく規制対象になっている」と話す。これに対して厚労省の関係者は「弾力的な対応を求める通知の趣旨が理解されていない」と指摘する。
 栃木県鹿沼市の栽培農家で、伊勢麻の農業技術者を育てた大森由久氏は「三重県の対応は農家をつぶそうとしているとしか思えない。厚労省がもっと前面に出るべきだ」と話す。(椎谷哲夫)

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