「シリア市民殺りく」ウクライナでなぞるロシア 現地指揮の統括司令官任命 ブチャ虐殺に傭兵ワグネル関与か

2022年4月11日 20時43分
 ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ侵攻の統括司令官にロシアが介入したシリア内戦を指揮した南部軍管区のドボルニコフ司令官(60)を任命したことが明らかになり、国際社会の懸念が高まっている。ドボルニコフ氏は、シリア内戦で市民を巻き込む無差別攻撃を行っており、ウクライナでも犠牲者がさらに拡大する恐れがある。

ロシアがウクライナ侵攻の統括司令官に任命したドボルニコフ氏(2016年当時、AP)

 「ロシアが、ウクライナで殺りくと残虐行為を続けることを示す証左だ」。サリバン米大統領補佐官は10日、米CNNでドボルニコフ氏の統括司令官就任に警戒感を示した。
 ロシアは2015年、シリア内戦で劣勢だったアサド政権の要請を受け、北部イドリブ県などで反政府勢力や過激派組織「イスラム国」(IS)に対して激しい空爆と地上部隊による攻撃を開始。空軍パイロットの9割以上がシリアで経験を積み、「ロシアにとってシリアは精鋭兵士を養成する現場」(軍事筋)と化したという。
 ロシアで独立系の軍事評論家が懸念するのが、シリアでの従軍経験がある兵士らの危険性だ。「テロリスト」とみなした人々への攻撃が常態化し、一般兵士は発砲や空爆に何のためらいもないという。
 この軍事評論家によるとドボルニコフ氏は2月下旬から始まったウクライナ南東部の港湾都市マリウポリでの包囲戦を指揮していた。マリウポリでは、病院や電力設備などのインフラを破壊して住民の抵抗をそぐ作戦が行われており「シリアで行われた作戦の再現だ」と指摘する。
 一方、独誌シュピーゲルは7日、ロシア軍が撤収前のキーウ州で、民間人殺害について話すロシア兵の無線通信を独情報機関が傍受していたと報道。同州北西部ブチャでの民間人虐殺には、シリア内戦などに参加しているロシアの民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵が関与した疑いが強いとも指摘している。
 プーチン政権は5月9日の第2次大戦の対独戦戦勝記念式典に向けた「戦果」として、マリウポリを含む東部ドンバス地域の掌握を急いでいるとみられ、ウクライナメディアはロシア軍が今後、さらに無差別攻撃を激化させる恐れがあると指摘する。

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