<コロナ 医療を守ろう>糖尿病患者、行き場なく 感染者以外制限「命守るため」

2020年4月18日 02時00分

「苦しむ患者がいることを知ってほしい」と話す富田真也さん。病気への配慮を求める「ヘルプマーク」を体や車いすなどにいくつもつけている=14日、東京都中野区で(中村真暁撮影)

 新型コロナウイルスの院内感染を防ぐため、ほかの疾患患者の通院を制限する医療機関が増えてきた。糖尿病を患う東京都中野区の富田真也(まさや)さん(60)は通院先の変更を迫られたが、新しい病院が見つかっていない。「何かあったとき、どこに搬送されるのか。医療崩壊を実感する」と危機感を募らせる。 (中村真暁)
 「これから新型コロナウイルスの感染者を受け入れます。命を守るため、病院に入らないで」
 今月七日、都内の民間病院の診察室。防じんマスクとゴーグルを着けた男性主治医が、二メートル以上も離れた部屋の端から富田さんにそう告げた。主治医は「今後、感染者を受け入れる可能性が低く、入院患者のいない別の病院を探す」と説明。富田さんはいつもの三倍に当たる三カ月分のインスリンなどの処方箋を受け取り、病院を後にした。
 途方に暮れた。一人暮らしで、移動は電動車いす。糖尿病は感染症による重症化のリスクが高く、外出時は感染予防でマスクとゴーグル、消毒スプレーなどを欠かさない。病気への配慮を示す「ヘルプマーク」をいつも携帯し、マークに搬送先として同病院の名称を書いてきた。実際、外出中に突然意識を失い、病院へ何度も搬送された。でも、今は空欄だ。
 受け入れ先の病院はまだ決まらない。新型コロナの感染者が増える中、見つかる期待が持てない。「一番、命懸けなのは医療従事者たち」と理解を示しつつ、「命をつなぐ病院に、さよならを言われた。搬送先がないなら、もう終わり」と不安はぬぐえない。「重症患者を追い出すしかないとは。政府は何してるんだ」とやるせない気持ちになる。
 富田さんが通院していた病院は取材に「感染リスクを減らすため、不急な検査などの通院を先送りしている」としている。
 糖尿病患者や家族による認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(佐賀市)の大村詠一副理事長は「不安を抱いている患者は多い。医療機関によってオンライン受診などができるかどうかといった対応に違いがあり、課題がある」と話す。同ネットワークはホームページで、「もしも感染してしまったら」など、患者の不安に答えるQ&Aも公開している。
 医療体制の状況を公開する政府サイトによると、都内の病院(入院病床二十床以上)のうち、新型コロナを除いて平日の外来診療で平常通りに対応すると答えた病院は十六日時点では42・9%。感染者以外の疾患患者の受け皿が小さくなっている。
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