「情報分野のバリアフリ-」新法、国会成立へ 超党派議連が当事者の声聞き法案に 参院厚生委で可決

2022年4月13日 06時00分
 障害者が日常生活や災害時に必要な情報を得られるようにして、健常者との情報格差の解消を目指す法案が12日、参院厚生労働委員会に提出され、全会一致で可決された。参院本会議で可決後、衆院での審議を経て今国会中に成立する見通し。法案は大切な情報が得られずにさまざまな困難に直面した当事者らの声を受けて議員立法で作成され、関係者は「情報分野のバリアフリー化が進む」と期待を寄せる。(大野暢子)
 この法案は「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案」。第1条で「全ての障害者が、社会を構成する一員としてあらゆる活動に参加するためには、情報を十分に取得、利用し、円滑に意思疎通を図ることが極めて重要」と指摘。共生社会の実現に向け、障害の種類や程度にかかわらず、必要な情報を得やすくする施策を国や自治体などに求める。
 国の責務として「施策を総合的に策定し実施する」と明記し、必要な法律や財源を整えるように要請。障害者の情報取得に役立つ機器の開発支援や、防災・防犯情報を迅速に伝える態勢の充実なども求めた。
 法案は与野党の有志による超党派の議員連盟が、障害者団体の意見を聞き取って作り上げた。当事者からは、災害時の政府の記者会見で手話、文字、音声の3種類の案内がそろわず、情報を得られなかったり、家庭内暴力(DV)の相談窓口が電話しかなく、聴覚障害者らが使えなかったりする問題点が指摘された。

◆難病のれいわ舩後氏が初めて厚労委で質疑 当事者の思い込めて成立を訴える

参院厚労委で質問するれいわ新選組の舩後靖彦氏=12日、国会で(朝倉豊撮影)

 全身の筋肉が動かなくなる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患うれいわ新選組の舩後靖彦参院議員(64)は12日の参院厚生労働委員会に出席。障害者と健常者の情報格差の解消を目指す法案の取りまとめに携わった当事者として「情報保障とコミュニケーション支援を必要としている私にとって、包括的な法律ができることは大変重要だ」と訴えた。
 41歳でALSを発症した舩後氏は、人工呼吸器をのどに装着していて声を出せない。質疑では事前に用意した質問文を電子音声で読み上げる機械を活用。重度障害で意思疎通の壁があることを説明した上で「Q&A(質疑集)をホームページで公表するなどして、法の趣旨が具体的に見えるようにしてほしい」と情報提供の拡充を求めた。
 内閣府の担当者は「自治体への通知をはじめ、関係省庁とも連携して必要な周知を図る」と答弁。後藤茂之厚生労働相も「法案が成立すれば支援の充実に努める」と約束した。
 舩後氏が、参院厚労委で質疑するのは初めて。2019年の初当選直後から、障害者政策を所管する厚労委での質問を希望してきたが、少数会派のれいわには割り当てられなかった。今回は法案作成にかかわったことなどから、与野党が特例として約10分間の質疑を認めた。

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