<子どものあした>養育費の取り決め 費用補助 各地の自治体で広がる事業 公正証書の作成費、羽生市と杉戸町も

2022年4月13日 07時49分
 離婚後の子の養育費を巡る取り決めなどにかかる費用を補助する事業が、各地の自治体で広がっている。県内でも四月から、養育費の支払いが滞った場合に備えて公正証書の作成費を補助する事業を羽生市と杉戸町が導入。両市町は「養育費の確保で子どもの支援につなげたい」と効果に期待している。(寺本康弘)
 導入の経緯について、羽生市の担当者は「子を育てている母親から『養育費をもらっていない』『養育費の支払いが止まった』などの声があり、市として何かできないか検討した」と説明。杉戸町の担当者も「窓口で相談を受けていると『口頭で養育費の約束をしたが、もらえなくなった』など困っている人が多かった」と話した。
 公正証書の作成に当たり、羽生市は三万円、杉戸町は四万三千円をそれぞれ上限として補助する。昨年六月から上限四万三千円を補助しているさいたま市では、二〇二一年度に十八件の利用があったという。
 養育費は子どもの成長に必要な費用で、離婚後に子と一緒に暮らしていない親でも、子を引き取って養育している親に支払う義務がある。ただ、子の年齢によっては支払いが長期にわたり、途中で滞ることがある。養育費の不払いは、ひとり親世帯が経済的に困窮する一因ともなっている。
 離婚時に当事者だけの話し合いしかしていない場合や、私的な書面しか作っていない場合、養育費が支払われない時は、まず家庭裁判所に調停を申し立てる必要がある。一方、強制執行を受け入れることなどを記した公正証書があれば、裁判を起こさなくても相手の給与などの差し押さえが可能になる。迅速かつ強制力をもって養育費を請求できるが、ネックになるのが作成にかかる高額な費用だ。
 埼玉青年司法書士協議会の大室智久代表(36)によると、離婚の際に養育費の取り決めなどを含む公正証書を作成する場合、公証役場に納める手数料だけで数万円かかり、弁護士や司法書士など専門職に依頼するとさらに費用がかかる。
 大室さんは「初期費用で作成をちゅうちょしてしまうケースがあり、もったいない」と指摘し、自治体による補助制度は「公正証書作成を促すためにとても意義がある」としている。
 厚生労働省の全国ひとり親等世帯調査(二〇一六年度)によると、養育費の取り決めをしていない母子世帯は54・2%(父子世帯は74・4%)。取り決めをしている42・9%(同20・8%)の世帯でも、うち26・3%(同23・4%)は取り決めの文書がなかった。

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