「事故の影響を広げることは許されない」 海洋放出撤回求め、各地で抗議 東電福島第一原発の処理水巡り

2022年4月13日 15時50分
福島第一原発で保管する処理水の海洋放出方針撤回を訴える参加者たち=2022年4月13日、東京・永田町で

福島第一原発で保管する処理水の海洋放出方針撤回を訴える参加者たち=2022年4月13日、東京・永田町で

 政府が東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の処理水の海洋放出方針を決めてから1年となった13日、各地で抗議行動があり、参加者らは方針の撤回を訴えた。
 東京・永田町の衆院議員会館前では、「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」などの呼びかけに応じた約40人が参加。横断幕を掲げながら「福島の海を汚すな」「県民の声を聞け」と声を上げた。
 参加者らは議員会館に向かって代わるがわるスピーチ。全国労働組合連絡協議会の藤村妙子さん(67)は「政府と東電は『理解なしに海洋放出はしない』と福島県漁連に約束したのに、一方的に方針を決め、国民にも誠意ある説明はしていない」と批判。「海水でいくら薄めても、大量の放射性物質が海へ広がることは避けられない。放出ではなく、保管し続ける方法を探すなど、もっとやれることはあるはずだ」と訴えた。
 実行委事務局の井上年弘さん(63)は「政府は無理やりに方針を決め、反対の声があるのに1年たっても撤回しようとしない。これ以上、地球環境を放射能汚染で破壊してはいけない。反対の声を上げ続けよう」と呼びかけた。
 実行委は都内や埼玉、山形、愛知、大阪、岡山、福岡、鹿児島の8都府県の10カ所以上で抗議行動を展開した。
 また、環境保護団「FoEジャパン」は同日にオンラインで記者会見し、処理水の大型タンクでの保管や、セメントなどでの固化を求めた。「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表は「一度放出すれば取り返しはつかない。人為的に放射性物質を拡散することは、事故の影響を広げることで決して許されない」と訴えた。(小野沢健太)

福島第一原発の処理水 1~3号機の原子炉に注入した冷却水が事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れ、建屋に流入した地下水や雨水と混ざって発生する汚染水を、多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水。取り除けない放射性物質トリチウムが国の排出基準を上回る濃度で残る。政府は2021年4月、23年春をめどに処理水を海洋放出する方針を決定。東電は、大量の海水でトリチウム濃度を排出基準の40分の1未満に薄めて海へ流す計画を進めている。


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