「更年期で出勤できず」働く女性の39%が経験 就労率上昇でようやく政府が実態調査へ

2022年4月14日 06時00分
 更年期の症状が仕事や日常生活に与える影響について、政府が初の実態調査に乗り出す。女性就労率の上昇に伴って更年期特有の不調を抱えながら働く女性は少なくなく、公的支援を求める声が高まっているためだ。同様の問題は男性にもあり、政府は現状を把握した上で、普及啓発や支援施策につなげる。

◆「自助努力しても体調改善せず」

 東京都内のコールセンターで非正規社員として働いていた女性(51)は昨年4月末、雇い止めにあった。50歳で発症した頭痛やめまいといった更年期症状がひどく、勤務先が課した「出勤率9割」を満たせない期間が続いたためだ。
 業種や職種を問わない労働組合「総合サポートユニオン」などが昨年行った調査によると、更年期症状を経験した女性の39.8%が、それを理由に会社を休んだことがあるという。労働基準法で認められている「生理休暇」は更年期は対象外。女性は、この症状で出勤できなかった日を通常の欠勤と同様に扱われ、出勤率の改善を勤務先から求められた。3カ月に一度の更新面談時に症状を説明し配慮を求めたというが、契約は更新されなかった。
 女性は「いくら自助努力をしても体調は良くならず、どうすればいいのか分からなかった」と振り返り、「誰もが通る道。十分な情報や不利益にならない制度が欲しい」と訴える。
 同社の担当者は取材に「出勤率が改善されなかったので、契約更新せず満了とした。更年期障害の相談を受けた記録は残っていない」と話している。
 更年期症状は、40歳代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下に起因し、体調不良や情緒不安定など多岐にわたる。女性就業者数のうち、更年期の年代に差しかかる女性は約4割を占めるが、当事者を含めた周囲の知識や理解が追いついておらず、支援策もないのが現状だ。
 厚生労働省は難治性疾患などの研究費として、2022年度予算に計上した27億円の一部を、更年期症状の調査などに支出する。岸田文雄首相は2月の衆院予算委員会で「女性の健康を生涯にわたり包括的に支援していくことは大変重要な課題」と話し、調査の成果を、支援施策につなげる方針を示した。

◆3割近くが会社で不利益被る

 総合サポートユニオンなどが昨年4~5月に、更年期症状を経験した人を対象にウェブ上で調査(285人が回答)を行った。調査結果によると、更年期症状が原因で会社を休んだことがあると答えた人のうち29.2%が、何らかの不利益な取り扱いを受けたことがあると回答していた。
 調査結果について、同ユニオンの青木耕太郎共同代表は「女性の更年期症状は昔からあるにもかかわらず、それによって女性労働者が職場で経験する困難については検討されてこなかった」と指摘する。
 別の調査からは、更年期が女性だけの問題ではないのは明らかだ。労働政策研究・研修機構やNHKなどは昨年7月、更年期症状を経験した40~59歳の働く男女5334人を対象に共同調査を実施。「降格・昇進辞退」や「労働時間・業務量減」など雇用や収入に負の影響があったと回答する男性が20.5%と、女性の15.3%を上回った。
 更年期症状で思うように出勤できず、結果的に雇い止めにあった元非正規職員の女性は(51)は、最初は原因がわからず、インターネット検索で真っ先に出てきた熱中症を疑って対策したという。「自分が当事者になって、知識や情報の少なさ、周囲の理解の薄さを痛感した」と振り返り、支援制度の必要性を訴える。
 政府の実態調査に先立ち、自民党では昨年末、女性の健康課題を議論する会合を設置。3月末にまとめた中間提言には、更年期症状のための休暇制度を導入する企業への支援や、企業内研修の推進などが盛り込まれた。
 女性の心身の健康課題を技術で解決するフェムテック製品の普及に向けた法整備を働き掛けてきた「フェムテック振興議員連盟」は、5月にも更年期をテーマとした議論を始める。(坂田奈央)

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