円安容認し続ける日銀 輸入物価の上昇で家計への圧迫強まる 20年ぶり126円台

2022年4月14日 06時00分
日銀本店

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 約20年ぶりに1ドル=126円台前半まで円安が進んだのは、上昇する米金利とは対照的に、日銀の大規模な金融緩和の継続によって、日本の金利が低く抑えられているためだ。この円安誘導は安倍政権以降の経済政策の柱だが、輸入品価格が上昇する中で、家計を圧迫させる副作用が強まっている。
 米国では今年3月の消費者物価上昇率が約40年ぶりの高水準となるなど物価上昇に歯止めがかからない。インフレを抑えるため、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は今後も金利を急激に引き上げる公算が大きく、長期金利は約2.7%を超え、3年ぶりの高い水準となった。
 米国に対して日本の景気は回復軌道に乗っておらず、日銀は物価高への対応よりも、金融緩和の継続を優先。長期金利を0.25%より低く抑える方針だ。円安進行で輸出企業の円換算の収益が増えることなどから、「プラスの効果の方が大きい」(黒田東彦総裁)として日銀は円安を容認し続ける姿勢を示している。

◆年内に130円の可能性も

 今後の為替相場の見通しについて、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「日銀が円安をけん制しない中で、米国の積極的な引き締め姿勢は変わらないとの市場の思惑は強い。円安基調は続くだろう」と話す。ウクライナ情勢を受けた原油高で基軸通貨のドルによる取引が増えることも想定され、「年内に1ドル=130円に到達する可能性もある」と予測する。
 円安進行に歯止めがかからなければ、輸入物価の上昇を通じて家計への圧迫は強まるばかり。政府は月内に、物価高騰に対して経済対策をまとめる方針だが、日銀の円安容認が続く中、上野氏は「円安で苦しむ人や企業に対して財政で手当てする対症療法しか取りようがないだろう」とみる。
 物価が上がっても賃金が上がらなければ、実質賃金は下がる。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「(政府の対策は)中小企業の賃上げをどこまで後押しできるかということだ」と指摘する。(皆川剛、原田晋也)

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