<新型コロナ>自腹ホテル隔離「理不尽」 濃厚接触疑い「家族のため他に方法なく」

2020年4月15日 16時00分

ビジネスホテルで「自主隔離」生活を送る男性=4月、大阪府内で(本人提供)

 新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触した疑いのある人が家族らへの感染を避けるため、自主的にホテルで隔離生活を送るケースが出ている。症状がないと保健所の検査は受けられないため、費用は自腹。一方、症状を申告せずに宿泊した客の感染が判明し、営業停止に追い込まれたホテルもある。
 「濃厚接触を疑われた自分が家にいても、妻や子どもに迷惑を掛けるだけ。こうするしかなかった」。四月中旬、大阪府内のビジネスホテルで「自主隔離」生活を送る四十代男性はこう漏らした。
 府内の会社に勤める男性は四月上旬、取引先から「担当していた社員が感染した。あなたは濃厚接触者に当たる疑いがある」と連絡を受けた。男性は三月末に二度、マスクを着けていないこの担当者と約一時間、閉め切った部屋でやりとりしていた。
 男性は無症状だったが、同居家族への感染リスクを考え、連絡を受けた翌日からホテルに滞在。テレワークに切り替え、食事の買い出し以外は部屋で過ごすようにした。
 居住する兵庫県内の自治体に検査を求めたが「濃厚接触者でも、三七・五度以上の熱などの症状が四日以上ないと対象にはならない」と断られた。
 政府はこうしたケースの場合、家族との接触を避け自宅で療養するよう求めているが、男性は「家族が濃厚接触者というだけで、子どもが友達から距離を置かれることもあると聞いた」と話す。
 「感染が分かれば入院費や滞在費は公費で賄われるが、検査をしてもらえない以上、金銭的にも精神的にも負担を強いられる。理不尽だ」と納得できずにいる。
 結局、潜伏期間とされる約二週間、症状はなく、チェックアウトしたが、自分が濃厚接触者だということはホテル側には伝えなかった。
 宿泊者が感染の疑いを申告する義務はないが、宮崎市のホテルでは四月上旬、男性客の感染が判明し、営業を二週間停止。
 ホテルはホームページで「男性は自覚症状があったにもかかわらず、症状を伏せて家族への感染防止のため宿泊していた」として、自己判断でホテルを避難場所にしないよう求めている。
 宮崎市の保健所の担当者は「感染の疑いがある場合は自宅で待機するよう周知してきたが、伝わっていないなら行政側の努力不足。啓発を強めていきたい」と話した。

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