幕末、パリ万博出展に貢献 羽生出身の商人・清水卯三郎を紹介 北本在住の作家・今井さんが出版

2022年4月15日 07時48分

出版した清水卯三郎についての著書を紹介する今井博昭さん=北本市で

 幕末に渋沢栄一とともに海を渡りパリ万博の出展に貢献するなど活躍した羽生市出身の商人、清水卯三郎(うさぶろう)(1829〜1910年)について紹介する本を、北本市在住の作家今井博昭さん(71)が出版した。「卯三郎は渋沢栄一に匹敵するぐらいのことを成し遂げた人物。もっと多くの人に知ってほしい」と願っている。(寺本康弘)
 著書は「清水卯三郎 文明開化の多彩な先駆者」(さきたま出版会)。今井さんは二〇一〇年に出した渋沢に関する著書の取材の中で、名前程度しか知らなかった卯三郎の偉業を知った。
 薩英戦争(一八六三年)では、英国側から請われて通訳として旗艦に乗り、和睦交渉の実現に重要な役割を果たした。さらに英国軍の捕虜となった薩摩藩士の寺島宗則(後の外務大臣)や五代友厚(後の大阪商工会議所初代会頭)を、当時の情勢から幕府に出頭させるのは危険と判断し、現在の熊谷市内でかくまうために奔走した。今井さんは「(卯三郎がいなければ)日本史が変わっていたかもしれないぐらい役割は大きい」と評価する。
 パリ万博では、日本から材木を運んで建てた数寄屋造りの水茶屋が、パリの人たちから大好評を得た。その後、明治政府に万博開催の建白書を提出。「時期尚早」と受け入れられなかったが、先見性がうかがえる。国民の教育水準の向上を図るため、誰もが読みやすいひらがなの普及に尽力したり、米国から歯科治療器材を初めて輸入したりと、活躍した分野は幅広い。
 こうした功績を知ってほしいと、今井さんは二〇一四年に「歴史に隠れた大商人 清水卯三郎」(幻冬舎ルネッサンス新書)を出版した。ただ、詳細な記述にこだわり、一般には難解と感じられる傾向があった。今作では中学生にも読んでもらえるようにルビを多くふり、写真もふんだんに使用。内容を二十項目に絞り、一項目四ページとコンパクトにまとめた。
 今井さんは「卯三郎は調べれば調べるほどおもしろい人物。より多くの人に手にとって読んでほしい」と話している。
 本はA5判九十六ページ。千四百三十円。問い合わせは、さきたま出版会=電048(711)8041=へ。

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