<コロナ緊急事態>風俗業「生活どうすれば」 子2人抱え 客足激減でも仕事

2020年4月13日 16時00分

首都圏のデリバリーヘルスで働くシングルマザーの女性

 新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広がる中、性風俗業界で働く女性たちの生活が苦しくなっている。性風俗業の女性への公的支援には否定的な意見もあるが、シングルマザーらのセーフティーネットになっているのも事実。関係団体からは手厚い支援を求める声が上がっている。 (浅野有紀、藤川大樹)
 「子どもを抱えながら、普通の会社に勤められるシングルマザーって、一握り、二握りなんじゃないかなって思う」。首都圏のマンション一室に設けられたデリバリーヘルス(派遣型風俗店)の待機所。緊急事態宣言の発令後も出勤を続ける女性(34)はつぶやいた。
 女性は六年前に離婚し、女手ひとつで二人の息子を育てている。離婚するまでは専業主婦だった。離婚後、量販店でパート従業員として働いたものの、子育てとの両立は難しく、性風俗業界に飛び込んだ。一カ月の稼ぎは平均で二十五万~三十万円。「良い時であれば、四十万~五十万円になることもあった」という。
 ところが、新型コロナウイルスの感染が拡大すると、客足は遠のき、収入も「週五日の勤務で三万円稼げれば良いくらい」まで激減。終息が見通せない中、貯金を崩してしのがなければいけない状況に不安を感じ三月中旬、個人経営の店舗から、広告・宣伝が充実するグループ店に移籍した。
 臨時休校が長引く中、子どもたちは自宅で留守番だ。勤務時間を一~二時間減らして帰宅しなければならず、「この仕事の一時間はすごく大きい」と漏らす。
 都内のソープランドで働く女性(27)も「(自粛要請が)あと三カ月続いたら、生活できない」とこぼす。
 二月中旬から新型コロナの影響が出始め、三月には客足がぴたりとやんだ。交通費や店に支払う月二万円の在籍料を差し引くと赤字。常連客一人が来てくれていたが、緊急事態宣言を受けた都の休業要請に従い、店は十一日から休業している。幼い頃から虐待を受けて育ち、両親を頼ることはできない。
 所得が減少した世帯向けの三十万円の給付金を申請するには、収入を証明する書類が必要となるが、完全歩合制で日払いのため、給与明細はない。「店に在籍しながら、リストラに遭ったようなもの。なのに収入ゼロを証明したくても、できない」。不安は増すばかりだ。
 風俗業界で働く人のための無料法律相談所「風テラス」には三月、「収入がなくて生活できない」などの相談が、前年同月比で三倍となる百六十三件、四月は八日までに二百四十四件寄せられた。安井飛鳥弁護士は「店舗型の風俗業では食べていけないため、『パパ活』のようにインターネットで自分で客を見つけ、犯罪に巻き込まれるリスクが高まるのでは」と懸念している。

◆国「柔軟な対応検討」 30万円給付

 風俗業界で働く人への公的支援を巡っては、政府が臨時休校に伴って仕事を休まざるを得ない保護者に対する助成制度の対象から風俗業を除外したことで、「職業差別ではないか」と議論が起きた。
 性風俗従事者の労働環境改善に取り組む団体「SWASH」が「シングルマザーも多く含まれる。親子の生存権を守ってほしい」と、見直しを求める要望書を、厚生労働省に提出。加藤勝信厚生労働相は七日に一転、「緊急事態宣言で休校が長引くことを踏まえ再考した」と述べ、除外しない考えを表明した。
 一定の減収世帯に対する現金三十万円の給付については、総務省は当初から風俗業を除外していない。担当者は本紙の取材に「個人事業主も含め、日払いで給与明細がない人や、確定申告をしていない人も想定し、柔軟に支給できるよう検討している」と説明した。

ソープランドで働く女性。「給付金の対象にはならないのでは」と諦めている=都内で

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