「忖度せず、国の責任を認めて」原発事故避難者の集団訴訟で初の最高裁弁論

2022年4月15日 21時37分
東京電力福島第一原発=2012年3月撮影

東京電力福島第一原発=2012年3月撮影

 東京電力福島第一原発事故で福島県から千葉県に避難した住民らが、国と東京電力に損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が15日、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)で開かれ、住民側と国側の双方が主張を述べた。これを含む計4訴訟の弁論が5月までに行われ、最高裁は今夏にも、国の責任について統一判断を示す見通し。判決期日は後日指定される。
 各地で起こされた同種の集団訴訟で初の最高裁弁論。他は群馬が22日、福島が25日、愛媛が5月16日に開かれる。高裁段階では、千葉、福島、愛媛の判決が国の責任を認めた一方、群馬は否定し、結論が分かれた。
 15日は原告の意見陳述も行われ、福島県浪江町から千葉県に避難し、現在は横浜市で暮らす小丸哲也さん(92)は「先祖代々の家も屋敷も田畑も山林も汚染され、人生をかけて築き上げてきたものを全て失った。最高裁には行政に忖度そんたくすることなく、国の責任をはっきり認めてほしい」と訴えた。
 弁論では国側が一、二審で争点となった政府の地震予測「長期評価」に「当時、原子力規制に取り入れるべき見解とされていなかった」と主張。津波対策に「仮に対策をしても、想定とは全く異なる津波で事故を防げなかった」とした。
 住民側は「長期評価は合理的根拠がある科学的知見」と指摘。規制権限のある国が東電に対策を指示し、防潮堤の建設や原子炉建屋の水密化工事をしていれば、事故は免れた可能性が高かったと述べた。
 東電の責任を巡って最高裁は先月、いずれも国が示した賠償基準「中間指針」を超える額の賠償金支払いを東電に命じた二審判決を是認。原告約3700人に計14億3000万円の支払い命令が確定している。(小沢慧一)

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