「先人が作った財産」「環境つぶす計画は本末転倒」 外苑1000本伐採に都民から再考求める声

2022年4月16日 06時00分
 1000本近くの樹木伐採を伴う東京・明治神宮外苑地区(新宿、港、渋谷区)の再開発計画を巡り、都は15日、環境影響評価制度に基づく「都民の意見を聴く会」を港区内で開いた。参加した都民からは「自然と歴史、美しい景観を守るべきだ」と計画見直しを求める声が相次いだ。今後は都民らの意見を踏まえ、専門家や都が事業者に対してどのような環境への配慮を求めていくかが焦点となる。(土門哲雄、森本智之)
 「先見の明のある先人が100年後に森になるようにと作ってくれた自然は現在の財産。私たちも美しい景観という財産を残すよう努力することが賢明な街づくりではないでしょうか」。近くの港区南青山1に住む岡田美穂さんはこう訴えた。
 聴く会は再開発が環境に与える影響を調べる手続きの一環。専門家でつくる都環境影響評価審議会の部会が2月から開かれ、生物・生態系、景観など14項目をチェックしている。
 事業者の三井不動産などが都に提出した環境影響評価書案によると、開発エリアの樹木1381本のうち971本が伐採される。樹齢100年の大木も含まれるという。新たに植樹するほか、象徴的な4列のイチョウ並木は保存されるが、現在の秩父宮ラグビー場の位置に移すホテル併設の神宮球場が並木に接近する。外苑付近は風致地区として建物の高さが規制されているが、地区外の隣接地には超高層ビルが2棟建つ。
 この日は参加を申し出た都民18人が15分ずつ意見表明。建築ジャーナル編集長西川直子さん(63)は「手順は踏んできたと言うが、十分な議論はあったか。守りたい環境をつぶす都市計画は本末転倒」と指摘。都市計画コンサルタントの若山徹さん(74)は「計画の床面積の大半はオフィス、商業施設などで、本当にスポーツの核になるのか、緑を守る地域になるのか非常に疑問」と述べた。
 会場では、都環境影響評価審議会の柳憲一郎会長(明治大名誉教授)と斎藤利晃部会長(日本大教授)、都担当者らが話を聞いた。
 今後、審議会は4月下旬と5月にも部会を開いた後、審議結果を小池百合子知事に答申する。6月上旬ごろまでに知事は事業者に審査意見書を送付する見込み。事業者は意見書を反映した環境評価書の策定が求められ、それに基づいて本年度中に着工する予定。都環境局の山内真アセスメント担当課長は「今日の意見を踏まえ、審議会の中で議論していく」と説明した。
明治神宮外苑の再開発計画 老朽化した神宮球場、秩父宮ラグビー場を建て替え、場所を入れ替えて再配置。オフィスや商業施設が入る高さ185~190メートルのビル2棟などを建設する。青山通りから約300メートル続くイチョウ並木は保存し、球場とラグビー場の間などに広場を整備する。2036年工事完了予定。

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