「日本の近代化を示す代表的遺跡」 JR東に高輪築堤の未発掘区画も保存を働きかけへ 日本考古学協会シンポ

2022年4月16日 19時31分
 1872(明治5)年の鉄道開業時、東京湾に線路を通すため築かれた「高輪築堤」(東京都港区)の価値や保存について考えるシンポジウムが16日、オンライン形式で開かれた。主催した日本考古学協会の辻秀人会長は、今後発掘予定の築堤の保存を目指し、JR東日本に働きかけていく考えを示した。

長く連なる石垣が良好な状態で見つかった高輪築堤。この部分は既に解体された=昨年4月、東京都港区で

 築堤の発掘はJR高輪ゲートウェイ駅(港区)西側の再開発用地6区画のうち4区画でほぼ終了。国史跡に指定された120メートルは現地保存が決まったが、他は一部の移築を除き解体される。一方、残り2区画の本格的な発掘はこれからだ。

高輪築堤の解説や、保存に向けた議論があったオンラインでのシンポジウム

 シンポでは、JR東が設けた有識者委員会の谷川章雄委員長(早稲田大教授)が基調講演。「高輪築堤は日本の近代化を示す代表的な遺跡。東京の地域史を考える上でも重要だ」と述べた上で、未発掘の2区画には鉄道開業時の初代・品川駅などの遺構が見つかる可能性があると指摘した。
 パネルディスカッションで、日本イコモス国内委員会の伊東孝さんは1月末、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部パリ)が築堤の解体中止を求める「ヘリテージアラート」を出した意義を解説。「イコモス本部が日本国内の文化遺産に発出した初のケースで、国内外において貴重な遺産ということ。残る2区画は完全に保存すべきだ」と語った。
 鉄道史学会の老川慶喜・立教大名誉教授は「鉄道遺構には、人が集まる。街のにぎわいづくりと親和性がある」と開発と両立できる可能性を提示。さらに「高輪築堤の事例は、日本の都市にある文化遺産について考えるきっかけにしないといけない」と、議論の広がりに期待した。(梅野光春)

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