[初めての電卓] 愛知県新城市 平野忠(52)
2022年4月17日 07時46分
◆わたしの絵本
◆300文字小説 川又千秋監修
[どんぐり山] 三重県桑名市・無職・76歳 森山岩夫
孫家族の家に出掛け、孫と遊ぶのが楽しみである。
近くに小高い山があり、絶好の散歩コースがある。なだらかな傾斜の山道を登ると、山頂から海が眺められた。
「海は広くて、きれいだね〜。大きな船が見えるよ」
いつもの言葉がけである。
山道には、どんぐりや松ぼっくりがたくさん落ちていた。
孫が小さい頃は、抱っこしたり、手をつないで歩きながら、歌をうたったりした。「どんぐりころころ、どんぶりこ〜♪」
やがて孫は、いつしか一人で走って登るようになった。
なかなか追いつけない!
成長ぶりに目を細めるが、こちらは加齢を痛感する。うれしい気持ちと悲しい気持ちが入り交じる。
どんぐり山は、いつもにこにこ温かく迎えてくれる。
<評> まさに、童謡そのままの素晴らしい環境ではありませんか。一歩家を出たら外の野山はどこでも遊び場。日が沈むまで自由に駆け回っていられた…そんな時代を、いつまでも共有したいものです。
[お花の名前] 名古屋市守山区・主婦・50歳 安原順子
「このお花は『スイセン』だよ」
「あれは『ラベンダー』」
子どもの頃、母と出かけると、よく花の名前を教えてくれた。
「それが『コスモス』」
「こっちに咲いてる赤いのは『サザンカ』ね」
(お母さんは、花の名前を何でも知ってるなぁ)
そう思いながら、聞いていた。
…そして、大人になった今。
「これは『ツバキ』よ」
「『ポピー』が咲きだした」
花を見ると、不思議と名前が浮かんでくる。
「あれは『カキツバタ』」
「ほらほら、こっちの白い花が『寒ザクラ』」
母が教えてくれたように、娘たちに話している私がいた。
<評> 少し大げさに聞こえるかもしれませんが、人類文明は、このように口伝えされた言葉と知識を土台にして出来上がったと考えられます。その意味で、これは、とても大切な親子の絆に違いありません。
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