「生理の貧困」解決のカギは 悩む若者・低所得者 「恥」と見なす風潮も壁に 政府が初の全国調査

2022年4月18日 06時00分
 新型コロナ禍が長期化する中、経済的な理由などから生理用品を入手できない女性が増加し、社会問題になっている「生理の貧困」。厚生労働省が初めて実施した全国規模の調査で、若い世代や収入が低い層ほど困難に直面している実態が明らかになった。国や自治体は生理用品の無償提供をはじめとする直接的な支援策を講じているが、女性を取り巻く労働環境や、生理を「恥」と見なす誤った風潮も絡み、問題解決に向けた課題は多い。(柚木まり)

◆10代、20代は12%超

 厚労省の調査は2月にインターネットで実施し、18~49歳の3000人から回答を得た。生理用品の購入や入手に苦労したことが「ある」との答えは8.1%。浮かび上がったのは、年代別で10代が12.9%、20代が12.7%、世帯収入別では年収100万円未満が16.8%、無収入が13.2%と割合が高かったことだ。これらの層では10人に1人以上が「生理の貧困」に陥っていることになる。
 この結果について、女性政策に詳しい東京工業大の治部れんげ准教授は「生理用品を買えない人がこれほどいるということは、困窮する若年女性への対策が不十分ということではないか」と強調する。
 経済的な困窮の背景には、女性の就労を巡る課題がある。女性の平均賃金は男性の75%で、男女間の格差は先進7カ国(G7)で最大。岸田文雄首相は国際女性デーの先月8日、「わが国の女性が直面する課題と構造的な問題への対応の鍵は『女性の経済的自立』だ」と述べたが、女性の比率が高い非正規雇用者がコロナ禍で厳しい状況に置かれる中で、具体的な取り組みは乏しい。

◆羞恥心、購入を遠ざける一因

 今回の調査で生理用品を入手できなかった理由を尋ねたところ、収入面以外で「自分で買うのが恥ずかしい」(8.2%)や「保護者や同居者に頼むことが恥ずかしい」(3.3%)との回答もあった。厚労省の担当者は「生理への羞恥心が生理用品の入手を遠ざけている面があり、啓発も必要だ」と話す。

生理用品

 東京大の田中東子教授(ジェンダー研究)は「生理は恥ずべきものという印象を植え付けられ、適切な支援や公での議論が阻害されてきた。女性全体の問題にもかかわらず、個人の体の問題として自己責任化されている」と指摘する。
 内閣府によると、全国の地方自治体のうち、約3分の1の約600自治体が生理用品の無償配布などの支援を行っている。だが、厚労省の今回の調査では、入手に苦労したことがある人の中で、制度があるか「分からない」という回答がほぼ半数を占め、周知に関する課題が浮き彫りになった。
 学校のトイレに生理用品を無償配置する活動などに取り組む若者グループ「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さん(24)は、生理の貧困を招く要因の多様さを踏まえ、包括的な支援が必要だと主張。「全国規模の調査実施は前進だが、結果をどう政策につなげるのか、国は明確に示してほしい」と要望する。

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