<新型コロナ>保育園休園戸惑い 都内分かれる判断

2020年4月9日 02時00分

感染防止のマスクをして園児を寝かしつける保育士=8日、東京都江東区で(奥野斐撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、安倍晋三首相が発令した緊急事態宣言で対象地域となった東京都では、認可保育園を休園したり、保護者に登園自粛を求めたりする自治体が相次いでいる。 (新型コロナウイルス取材班)
 都内ではこれまで開園してきた千代田、中央、杉並、豊島、渋谷、墨田、足立、文京区は五月六日まで休園する。保護者が医療従事者の場合や、世帯の保護者全員が休めない場合など、やむをえないケースは受け入れるという。
 練馬、目黒、品川、港、台東、荒川、北、葛飾、江戸川区と町田市は五月六日まで利用自粛を求めている。
 このほか、板橋区は七日、保護者が在宅する場合は来園しないよう求める通知を各家庭に配布。中野区は受け入れ縮小の方向で、新宿、世田谷、江東区は対応を検討中。中野区の担当者は「感染防止の効果と保育の必要性のバランスで、どんな方法がいいのか検討する」と話している。
 国は宣言後の対応に関して、都道府県知事が保育園の使用制限を要請していない場合、保育を縮小して実施を検討するよう求めている。ただし知事が休園を要請したら「その要請を踏まえた対応が必要」とした。
 都の場合は「保育園は緊急事態宣言によって休業を要請する施設として想定していない」(都の担当者)。ただ、園内で感染者が出るなど休園せざるを得ない場合、仕事を休めない保護者の子どもらの受け皿づくりを求めている。
 都内では、渋谷区など保育所を臨時休園する動きが広がっている。一方、インフラ関係や在宅勤務ができない職場で働く親からは「預け先がないと困る」という切実な声も。休園か開園かの判断が自治体で分かれ、保護者、保育士から不安や戸惑う声が上がる。
 八日昼すぎ、江東区の認可保育園「スクルドエンジェル北砂園」で、会社員の母親(36)が仕事を切り上げ、長男(5つ)と次男(3つ)を迎えに来た。「宣言も出て、できるだけ人と接しない方がいいかなと思って。明日から在宅勤務にします」
 同園では保育士のマスク着用や消毒、手洗いの徹底など感染防止対策をしているが、同園の女性園長(46)は「保育士は園児に感染させないように気を使いながら保育し、疲弊している」と話す。外出自粛要請の中、園児を連れて散歩していると「近隣の目が気になった」と話す保育士もおり、「保育士の精神的な負担が増している」と明かす。
 登園自粛を求めながら、開園する方針の大田区。認可保育園の女性園長(47)は「開けるなら、マスクや消毒液などの備品は確保してほしい」と求める。手元の在庫は底をつきそうだ。
 保護者も複雑な思いを抱える。インターネットでは、ツイッターに感染不安から「#保育園を休園に」という声がある一方、預け先を求める悲鳴も聞こえる。
 九日からの認可保育園の休園が決まった千代田区の自営業女性(37)は、今月から生後七カ月の長男を預け始めたばかり。できる限り仕事を減らし、今週は二日間、在宅勤務にしたが、取引先の都合で外出が必要な仕事がある。夫は在宅勤務ができない職場だ。「感染は怖いし、保育士たちの大変さも分かるが、これからどうしたら…」。感染リスクが高い両親にも預けられない。「夫に有休を取ってもらい、乗り切るしかないのか。先が読めない」と頭を抱えた。 (奥野斐)

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