<ひと ゆめ みらい>亡き母の店継ぎ 姉妹でカフェ・藤井典さん(34)=目黒区、柏崎真さん(29)=世田谷区

2022年4月18日 07時13分
 世田谷区代沢の閑静な住宅街で、姉妹でカフェ・洋菓子店「シモキタシマイ」を経営する。二〇二〇年夏の開店時からSNSで鮮やかなデコレーションケーキなどが話題になり、平日も朝から客が絶えない。「家のようにくつろげる空間に」と店を構えたのは、二人が育ち、亡き両親との思い出が詰まった実家だ。
 姉の典(のり)さんは、もともと国際協力機関の専門員としてカンボジアで働き、妹の真(まな)さんは広告会社に勤務していた。二人が学生時代に描いていた「いつか姉妹でお菓子店を」との夢と向き合うようになったのは、両親との別れがきっかけだった。
 一八年四月、建築士の父が心筋梗塞で急逝。三日後には菓子・料理研究家としてテレビの有名料理番組の講師も務め、がんで闘病中だった母・中村史(ふみ)さんが死去した。
 史さんが実家で開いていたテイクアウト専門の洋菓子店は、一七年から製菓学校に通っていた真さんが引き継ぐことに。一人で切り盛りする中で地元の常連客と触れ合う楽しさを知り、真さんは「母が目指したように、地域に根差したお店がやりたい」と夢が膨らみ始めた。
 妹の思いに応えるように典さんも一九年に帰国し「父が母の夢をかなえるためにつくり、家族四人で過ごした温かい家。ただ物を売るのではなく、居心地のいい場所に」と、実家でのカフェの開店を決めた。
 緑のある住宅街に合うよう、一階部分を改装してテラス席も設置。内装は白を基調とし、壁にはヘーゼルナッツの木やオブジェなどを飾り付ける。
 フランスやドイツの菓子を専門とした母のレシピを基に、ショートケーキやパウンドケーキなどの焼き菓子を展開。オーダー制デコレーションケーキやクッキーはインスタグラムなどで瞬く間に話題となり、母の代からの地元のお年寄りに加え、大勢の若い女性客が訪れるように。
 アイドルやアニメキャラクターを応援する「推し活」として、CD発売日などの節目にケーキを注文して店内で祝う人も増えた。今後は、地域の子ども向けの菓子づくりワークショップなども計画する。
 「誰かに幸せを与えられるものを作っていることを、両親は喜んでくれているはず」と典さん。真さんは「実家は両親を訪ねていつも多くの人が出入りする場所だった。人が集い、にぎわいのある空間にしていけたら」と話す。(太田理英子)
<ふじい・のり(写真右)、かしわざき・まな> 2020年7月に2人で「シモキタシマイ」(世田谷区代沢4の15の2)をオープンし、21年7月に法人化した。姉妹が気ままにトークを繰り広げるユーチューブチャンネルも開設している。

関連キーワード


おすすめ情報