<集いの杜>イチョウ 芽吹く春

2022年4月19日 06時57分

芽吹き始めたイチョウの葉は、日差しを求め日々成長していく=9日、港区で

 四月に入って間もなく、明治神宮外苑のいちょう並木で小さな緑が芽吹いているのを見つけた。
 見るからに柔らかで、ぷっくりとした赤ちゃんの手のひらを思わせる。
 「ついこの間まで枯れ木だったんですけど」。目を丸くしたのは近くに住む女性(68)。「イチョウは春が来たのをよく分かってますね」と言葉を継いだ。
 イチョウの木は強い。古くから防火林として並木に使われてきた。だが外苑の正面に植えられたのは「円すい形の樹形の美しさにある」と樹木学者は言う。
 外苑の表玄関に当たる青山通りから外苑中心部へ。三百メートルにわたって続く四列のいちょう並木は見る人の視線を絞り込み、その先にある聖徳記念絵画館へといざなう。
 計百二十八本。外苑が完成するより三年早い一九二三年に植栽され、関東大震災も太平洋戦争もくぐり抜けた。今回の再開発でも保存が決まっているが、一緒に歴史を紡いできた秩父宮ラグビー場に連なる十八本は伐採の可能性がある。
 芽吹きを見つけてから時間を見つけては、外苑に通った。残る木も、残らないかもしれない木も、今ではすっかり青い葉を茂らせている。
 文・森本智之/写真・内山田正夫
  ◇  ◇
 100年近い歴史を誇る明治神宮外苑。再開発の波にさらされる杜の今を、写真で記録します。随時掲載。
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