【独自】「不幸の手紙」と呼ばれたパーティー券、カネは議員控室で…辞職の自民区議ら「長年の慣例」で区職員に依頼か

2022年4月20日 06時00分
 東京都豊島区の自民党区議2人=辞職=が区の部長に政治資金パーティーへの参加を依頼したとされる事件に絡み、この元区議らが別のパーティーでも複数の部長らにパーティー券を購入するよう依頼していた疑いがあることが、関係者への取材で分かった。パーティー券の購入依頼は「長年の慣例だった」と話す元部長もいる。(井上真典)

豊島区を巡るパーティー参加依頼事件 昨年6月にあった政治資金パーティーへの参加を東京都豊島区の複数の部長に依頼したとして、警視庁が今年1月、自民党区議2人を政治資金規正法違反容疑で書類送検。課長らに参加を呼び掛けたとして、部長8人も書類送検した。区議2人は略式起訴された3月24日に辞職。同30日、2人は罰金20万円の略式命令を受け、部長2人も罰金10万円となった。区幹部ら40人以上が5000円の会費を支払っていた。

2019年3月にあった「春のつどい」=豊島区議のフェイスブックから(一部画像処理)

◆区議が「よろしくお願いします」

 この政治資金パーティーは、自民党豊島総支部主催の「春のつどい」で会費は1万円。新型コロナ禍前の2019年まで毎年3月、区内のホテルで開かれていた。
 支部の19年の政治資金収支報告書によると、春のつどいの収入は約966万円。支部の代表は元都議の堀宏道氏が務める。
 堀氏は都議選前の昨年6月、政治資金パーティーを開催。パーティーへの参加を部長に頼んだとして、元区議2人が政治資金規正法違反(公務員の地位利用)罪で略式命令を受けた。
 豊島区のある部長級幹部はかつて、略式命令を受けた元区議の1人から職場で、「よろしくお願いします」と春のつどいのパーティー券を手渡されたと証言する。

◆法律では禁止、公訴時効は3年

 「課長時代も部長経由で渡されたことがある。実際に行くこともあれば、行かないことも。会費は(区議会の)自民党の会派控室やパーティー会場で支払っていた」と打ち明けた。
 政治資金規正法は、政治資金パーティーの会費を公務員に支払わせ、参加を求めることを禁じている。公訴時効は3年だ。

「春のつどい」のパーティー券=豊島区議のフェイスブックから(一部画像処理)

 関係者によると、元区議2人は19年以前、春のつどいへの参加を「部長にお願いしに行ったことがある」と周囲に話しているとされる。取材に対しては、1人は弁護人を通じて「応じられない」と回答。もう1人は期限までに回答がなかった。

◆「不幸の手紙」職員内で隠語

 一方、2人とは別の元区議は「部長らの名前が書かれた封筒を、私もほかの区議と手分けして配っていた」と証言。部長経験者の多くも、かねて春のつどいへの参加を求められていたと明かす。
 ある元部長は参加した理由について「区議に議会質問でつるし上げにされたくなかった。管理職は与党議員からの頼みは断りづらく、長年の慣例だった」と説明。別の元部長は「庁内では『不幸の手紙』と呼ばれていた」と顔をしかめる。
 都議選前のパーティーを巡る事件が本紙報道で明るみに出た3月25日、高野之夫区長は記者会見で「背景には政治資金規正法に関する職員の理解不足があった」と説明。元区議2人は「職員に強制的に購入を迫ったものではない」とコメントしている。
 ある元区議は冷ややかに話した。「これまで、駄目と言われたことはない。豊島区に限った話なのか。ほかにもやっているところはあるんじゃないの」

◆中立性損なわせる

 岩井奉信・日大名誉教授(政治学)の話 
 パーティー券を買うことは特定政党への資金援助につながる。公務員には政治的中立性が求められており、議員が公務員にパーティー券の購入を求めることは、中立性を損なわせることになりかねない。厳に慎むべきだ。

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