東電に6540万円の賠償命令、国への請求は棄却 福島原発避難者訴訟、さいたま地裁判決

2022年4月20日 20時40分
東電福島第一原発=本社ヘリ「おおづる」から(2021年4月撮影)

東電福島第一原発=本社ヘリ「おおづる」から(2021年4月撮影)

 東京電力福島第一原発事故で福島県から埼玉県などに避難した住民ら95人が、国と東電に計約11億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁は20日、東電に計約6540万円の支払いを命じた。国への請求は「規制権限を行使しても事故を回避できたとはいえない」として棄却した。原告側は控訴する方針。
 国と東電の双方に賠償を求めた訴訟の地裁判決は18件目。国の責任は地裁、高裁で判断が分かれ、最高裁が近く統一判断を示す見通し。東電の責任はいずれも認められている。
 岡部純子裁判長は判決理由で、国は2002年に公表した地震予測の「長期評価」を基に、福島第一原発の主要建屋の敷地高を超える津波の到来を予見できたのに、規制権限を行使しなかったと指摘。「重大な責務を果たしたとはいえない」とした。
 一方、予測された津波と実際の津波は違いが大きく、「長期評価にしたがって規制権限を行使しても、事故を回避できたことが認められない」として国への訴えを退けた。原告の一部は東電による賠償も認められなかった。
 原告は原発事故の避難指示区域に住んでいた人や自主避難者ら。訴訟では、国は原発への規制を怠るなどし、東電は重大事故への対策を怠ったと訴え、事故で住み慣れた土地から引き離された精神的苦痛への慰謝料などを求めた。国は津波は予見できなかったと主張、東電は十分な賠償を済ませたとしていた。
 さいたま市内で会見した原告側は「大事故を起こしておいて、規制してもしなくても同じで責任がないというのは、到底信じられない判断だ」と批判。原子力規制委員会は「新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切に規制したい」、東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントした。(杉原雄介)

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