ゆるゆる 大人も癒やす あらかわ遊園 21日新装オープン
2022年4月21日 07時05分
都内唯一の区立遊園地「あらかわ遊園」(荒川区)が二十一日、約三十年ぶりの大規模改修工事を終え、リニューアルオープンする。約四十億円をかけてほとんどの遊具を一新、子どもは夢中になれて、大人はゆるくて癒やされる「ちょうどいい空間」になった。報道公開で一足先に新・あらかわ遊園を体験してみた。
のんびりと走る都電の荒川遊園地前停留場から歩いて数分。れんが調の柱に「あらかわ遊園」と大きく書かれた真新しい門をくぐると、同園のシンボル、観覧車とメリーゴーラウンドが目に飛び込んできた。
リニューアル前に直径二十六メートルだった観覧車は、同四十メートルへと巨大化。下町の住宅街や都心のビル群、東京スカイツリー、晴れた日には富士山も望めるという。二十八個のゴンドラのうち、四個は壁や床が透明の「スケルトンゴンドラ」だ。ゆったりと景色を楽しもうと思ったが、足元が透けるので想像以上に高く感じる。わずか数分で園内を行き交う人影は小さくなり、足がすくむ。ちょっとしたスリルも楽しめる九分間の空中散歩だった。
次に向かったのは豆汽車。暖かい日差しの中、汽車にゆられて動物たちがいる「どうぶつ広場」の周りを走るのだが、目が半開きに見えるヤギやヒツジ、おなかを見せるように岩にもたれかかり、警戒感がまるでなさそうなミーアキャット…。そのゆるさにこちらのまぶたも重くなる。
どうぶつ広場は動物たちに触れたり、えさやりができる人気スポットだ。生後一〜三カ月のヤギ、ヒツジの赤ちゃんに触れることができ、癒やし効果は抜群。ひらひらしたものをかむ習性があり、取材ノートの端をかまれたが、いとしさすら感じた。
ただ、楽しみにしていた「日本一遅い」ともいわれるファミリーコースターは不具合のため乗れなかった。二十一日以降も当面運行を見合わせるという。
遊具のほかに大型の金魚も釣れる釣り堀、アスレチックがある室内の遊び場など子どもが楽しめる施設が充実。フードコートやカフェなどの飲食スペース、ベビールームも拡充され、親子連れに優しい遊園地となっている。
一九二二(大正十一)年に民営遊園地として開園したあらかわ遊園は、戦時中に一時閉園したが、五〇(昭和二十五)年に区が「児童の総合遊園」として再開させた。区は同園を「子育て支援の拠点施設」と位置付けており、リニューアル工事も子どもや子育ての視点を大切にしたという。
近年の年間来場者数は四十万人前後で推移していたが、今後の目標は五十万人。区荒川遊園課の野口正紀課長は「来るたびに新しい体験や発見ができるように工夫をして、多くの人を笑顔にする施設にしていきたい」と意気込んでいる。
近年の年間来場者数は四十万人前後で推移していたが、今後の目標は五十万人。区荒川遊園課の野口正紀課長は「来るたびに新しい体験や発見ができるように工夫をして、多くの人を笑顔にする施設にしていきたい」と意気込んでいる。
新型コロナ感染防止のため入園は予約制(五月九日以降の平日は予約不要)。四月の予約は平日の一部を除き埋まっている。予約は同園ホームページから。
文・西川正志/写真・平野皓士朗
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