<社説>円安危険水域に 生活への打撃避けねば

2022年4月21日 07時38分
 円安の流れが加速している。通貨下落が輸入コストを引き上げて生活物価が上昇する悪循環が起きている。政府・日銀は歩調を合わせ、暮らしへの打撃を食い止めることを最優先にすべきだ。
 東京外国為替市場の円相場は一時、一ドル=一二九円台を付け二十年前の水準まで下落した。円安の直接の原因は日米の金利差が拡大していることだ。
 米国がインフレ抑制のため金利を上げる中、逆に日銀は国債の価値下落を防ぐため長期金利の上昇を抑える措置を講じている。この結果、投資家は、金利が高く利益が見込めるドルを買う動きを一層強めている。
 国内では賃上げが消費を伸ばして企業収益を増やす景気の好循環が起きていない。今、日銀が円安阻止に向けて金利を上げれば景気は一気に冷え込みかねない。
 利上げという選択肢を取れない以上、政府の経済閣僚や日銀総裁らによる発言で急激な円安の流れを食い止めるのが定石のはずだ。
 だが日銀の黒田東彦総裁は「急速な円安はマイナス」と述べつつ「日本経済全体にとってプラスという評価は変えていない」と発言。円安阻止には迫力に乏しく、この発言が「日銀総裁の腰が定まっていない」とのメッセージとして市場に伝わり円の下落に拍車をかけた可能性は否定できない。鈴木俊一財務相が「(円安は)望ましくない」と発言したが効果はなかった。
 物価高は、円安とウクライナ侵攻の激化を背景とした原油高のダブルパンチで歯止めがかからない状況だ。放置すれば家計負担は一段と重くなり飲食店を含む中小事業者の倒産も激増しかねない。
 政府と日銀は綿密にすり合わせた上で過度な円安を食い止める姿勢を鮮明にすべきだ。同時に今以上の大幅な下落に備え、為替介入を実施する構えも整えてほしい。
 国内では円高が輸出に打撃を与え、景気の足かせとなるとの認識が定着していたが、現実には内需依存型でその認識は当たらない。政府・日銀には国の衰退につながりかねない通貨安と正面から向き合うよう強く求めたい。 

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