「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に 幹部「気を使った」 自民党安保調査会が提言案

2022年4月21日 21時39分

 自民党安全保障調査会は21日の全体会合で、「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に変更し、対象に司令部など「指揮統制機能等」を追加した上で、政府に保有を求める提言案を了承した。防衛費は、国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に、5年以内の増額を提言した。野党や識者からは、武力によって抑止力を高める内容に「かえって戦争への危険性を高める」などと批判が出ている。(山口哲人)
 自民党は月内に岸田文雄首相に提言案を提出。政府が年内に予定する外交・防衛の長期指針「国家安全保障戦略」など政府3文書の改定への反映を目指す。
 政府は専守防衛のもと、相手領域への攻撃能力は米国に委ねてきた。提言案では、攻撃能力を日本が持つ理由に関し、中国と北朝鮮、ロシアの軍事動向で安全保障環境が「加速度的に厳しさを増している」と指摘。敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えたことについて、同調査会幹部は「先制攻撃のニュアンスに取られないように気を使った」と説明している。
 防衛費に関しては、北大西洋条約機構(NATO)加盟国がGDP比2%以上を目標としているのを念頭に置いた上で「5年以内に防衛力の抜本的な強化を目指す」とした。
 他国への武器供与に関する防衛装備移転3原則の見直しも主張し、「侵略を受けている国に幅広い分野の装備移転を可能とする制度を検討」と、対象の拡大に踏み込んだ。
 「専守防衛の考え方」に立つとしつつ、「必要最小限度の自衛力」は「時々の国際情勢や科学技術等の諸条件を考慮し決せられる」と幅を持たせた。
 提言案について、学識者でつくる平和構想研究会は「先制攻撃に限りなく近づく危険な政策。地域の軍事的緊張を高め、日本が攻撃される可能性をむしろ高めるものだ」と緊急声明で抗議した。立憲民主党の小川淳也政調会長は「ウクライナ情勢に乗じた前のめりの議論だ」と批判した。

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